ネットワーク事業者がインターネット接続を妨害したり、接続の速度や質を低下させ、有料サービスに加入する企業の接続のみを優遇することを禁じる法案が米国時間3月2日に、米上院に提出された。
提案者である上院議員のRon Wyden(民主党、オレゴン州選出)によると、この法案は、全てのインターネットコンテンツの「平等な取り扱い」を促進し、将来、通信プロバイダが(特別料金を支払った顧客のみを)特別扱いするのではないか、との懸念を払拭するものだという。
Wydenの法案は、許容可能なインターネットサービスとそうでないサービスの選別を行う最も積極的な立法上の試みであるため、今後、いわゆる「ネットワークの中立性」の支持者と伝統的に強い影響力を持つ通信業界との間で政治的抗争が勃発する可能性が高い。Verizon Communications、BellSouth、さらに最近合併したAT&TおよびSBC Communicationsの幹部らは最近、インターネットサービスの中で一部のサービス(特に映像)が他のサービスよりも優遇される、いわゆるインターネットの二重構造化の利点について議論した。
Wydenは電話会議の中で、記者たちに対し次のように語った。「大手のネットワーク事業者は、『ネットワークを構築したのはわれわれであり、われわれがネットワークの所有者だ。したがって、誰もが基本的にわれわれの言うことに従わなくてはならない』と述べている。しかし、『そうではなく、ネットワークを構築したのは消費者であり、(サービスの)加入者だ。彼らが支払った料金でネットワークが構築されたのだ。それこそがこの問題の全て』というのが私の見解だ」
「Internet Non-Discrimination Act(インターネット無差別法)」と題されたこの法案が立法化された場合、米連邦通信委員会(FCC)には違反行為を監視する権限や「停止」命令を下す権限が与えられることになる。Wydenは、企業が異なる価格で異なる速度の接続サービスを提供することには反対ではないという。実際、いくつかの大手インターネットプロバイダがこのような方式を採用している。ただし、各レベルのサービスにおいて、コンテンツを平等に扱うことが条件だ。
今のところ、ブロードバンドプロバイダが特定のウェブサイトへのアクセスを遮断しようとした例はない。しかし、プロバイダらによると、例えばYahooが、料金を支払って自社の検索サイトがGoogleよりも早くロードするようにする可能性はあるという。その他にも、回線容量を独占するファイル交換アプリケーションを制限したり、自社の映像コンテンツをライバル企業が提供する同様のサービスよりも高速で配信するといったケースが考えられる。
BellSouthは2日、「合法的な」ネットトラフィックを妨害したり、トラフィックの速度や質を低下させる行為は行わないと公約したが、Wydenの法案は支持しないと発表した。AT&Tもコンテンツの妨害や質を低下させる行為は行わないと発表した。同社は声明の中で次のように語っている。「現在、われわれは別の製品モデルを模索しているが、これは市場で解決すべき問題だと強く感じている。」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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