ソフトバンクが完全子会社を通じて英Vodafone Groupからボーダフォンの日本法人を買収した件は、その金額の大きさや影響の広さから驚きをもって受け入れられた。今回の買収に関して押さえておくべきポイントをまとめた。
--ソフトバンクの買収金額は?
ソフトバンクは英Vodafone Groupが持つボーダフォン日本法人の株式をすべて(全株式の97.68%)買収する。金額は1兆7500億円の予定だ。
--どうしてソフトバンクの負担は2000億円になるの?
ソフトバンクは全額出資する子会社を設立し、この子会社がボーダフォンを買収する形をとる。この子会社は、LBO(レバレッジドバイアウト)によるノンリコースローン(ローン返済ができなくなったときに、担保となっている資産以外に債権の取り立てが及ばない融資)で1兆1000億円〜1兆2000億円をまかなう。さらにソフトバンクのグループ会社であるヤフーが1200億円を出資する。また、Vodafone Groupがこの子会社に総額4000億円の出資をするため、結果としてソフトバンクの出資額は2000億円となる。
--Vodafoneはなぜ日本法人を売却したの?
「株主に対してより多くの配当を出せるような、強いポジションを取れるような市場に資源を集中するため」とVodafoneは説明している。日本ではNTTドコモやKDDIの力が強く、このままでは市場競争に勝てないと判断した模様だ。
--ボーダフォンブランドはどうなるの?
ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は、新しいブランド名に変更すると明言している。ただし、新しいブランド名が何になるのかについては、明らかにしていない。
--ボーダフォンは日本から撤退するの?
ブランドがなくなるという意味では撤退と言えるだろう。ただし、Vodafoneはソフトバンクとの提携については前向きな姿勢を示しており、海外ローミングなどで提携していく模様だ。また、両社はモバイルコンテンツを配信する新会社を合弁で設立することについて、協議を始めた。
--これで通信料金は安くなるの?
残念ながら、孫氏は今後の料金施策について明らかにしていない。ただし、買収で用いたノンリコースローンという手法は、ボーダフォンの今後のキャッシュフローを担保にしている。このため、キャッシュフローが少なくなるような極端な安値にはならないとみられる。
--ソフトバンクは携帯電話事業に新規参入するために1.7GHz帯の割当を受けたはずだけれども、それはどうなるの?
この点について、孫氏は「総務省とよく相談する」と述べるにとどめている。また、もし1.7GHz帯の利用が認められなくなった場合には、「既存の携帯キャリアとのイコールフッティングを求めていく」と話しており、いずれにしろより多くの周波数を求めていくことは間違いなさそうだ。
--ヤフーはなぜボーダフォン買収に出資したの?
ヤフーはソフトバンクと業務提携し、Yahoo! JAPANを携帯電話端末のポータルサイトにするとともに、さまざまなサービスやコンテンツを提供する。これにより、PCからでも携帯電話端末からでも1つのサービスを同じように使える環境を実現する考えだ。
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