NTTドコモは10月28日、2006年3月期の連結中間(4〜9月)決算を発表した(表1)。前年同期に比べて減収となったものの、movaからFOMAへの移行が進んだことで、ユーザー1人あたりの月額平均利用料金を示すARPUが2005年3月期決算の第4四半期(1〜3月)を底に回復している。
総収入(営業収入)は前年同期比3.2%減となった。同じ端末を2年以上使っているユーザーに電池パックを無料で提供するなど、顧客維持施策によって端末機器の販売数が減少したことが大きな要因だ。
ただし上半期の純増シェアが50.7%になるなど契約者数が伸びたことと、解約率が0.81%と低かったことに支えられて、携帯電話収入に限っては前年同期比0.5%減と微減にとどまっている。
一方、営業利益は前年同期比2.4%増となった。これは主に端末販売が減少したことで、販売代理店への手数料が減ったためだ。営業利益率は23.5%で、前年同期に比べて1.3ポイント改善した。
経常利益は前年同期比16.1%増となったが、これはHutchison 3G UK Holdingsの株式売却益を620億円計上したためだ。
表1:2006年3月期上半期(4〜9月)決算
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ARPUが回復してきているのは、FOMAがヘビーユーザー以外にも普及してきたためだ(グラフ)。これまでは月額のパケット通信料金が数万円から数十万円のいわゆる「パケ死」ユーザーがmovaからパケット料金の安いFOMAに移ったことで、ARPUが落ちていた。しかしこれが一段落し、さらにこれまで利用料金の少なかったユーザーがFOMAに移行してパケット通信を利用するようになったことで、ARPUが改善してきているようだ。
グラフ:ARPUの推移
ピンクはパケットARPU、水色は音声ARPU、折れ線グラフはMOU(1契約あたりの月間平均通話時間)を表す
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解約率が0.81%と第1四半期(2005年4〜6月)の0.80%に引き続いて過去最低水準となっていることについて、NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫氏は「デジタルカメラ搭載端末のように、利用者が『ここの通信事業者でないと』という端末がないためではないか。おサイフケータイにしても、リーダー/ライターが普及しないといけない」と分析した。KDDI代表取締役社長兼会長の小野寺正氏が、2006年から始まる予定の番号ポータビリティに向けた解約控えが起きているとコメントした(関連記事)ことに対しては、「番号ポータビリティの影響というには少し早いのではないか」とした。
ドコモは同日、中学生以下、60歳以上、および障害者を対象に、基本料金が月額1575円となる割引サービスを12月1日より始めると発表している。ただし家族とともにファミリー割引に加入したユーザーに限り、通信料金は30秒25円となる。KDDIもすでに11月14日からauで同様のサービスを開始すると発表している(関連記事)。
2006年3月期の通期業績予想については、ARPUが回復して携帯電話収入が当初計画に比べて610億円増加するものの、端末販売が引き続き落ち込んで機器販売収入が同890億円減少することから、総収入は当初計画比210億円減の4兆7840億円になると見込む。営業利益についてはオランダのKPNモバイルとの資本関係解消に関わる費用が発生するが、販売代理店への手数料の減少などにより、当初計画比200億円増の8300億円に修正した。
表2:2006年3月期通期決算予想
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