携帯電話用OSメーカーのSymbianが、ライバルのMicrosoftからソフトウェアのライセンス供与を受けることになった。これは両社間の協力拡大を示す兆候の1つといえる。
Symbian(本社:英ロンドン)によると、同社はSymbian搭載の携帯端末でMicrosoft Exchange Server 2003の電子メール、カレンダー、コンタクトなどの個人情報と連係できるようにするソフトウェアを開発し、これをSymbianのライセンシー各社に提供するという。
具体的なライセンスの条件については明らかにされていない。
両社によると、この提携は法人顧客に対してさらに多くのSymbian搭載端末を販売するためのものだという。これらの携帯端末は、ワードプロセッサなどの高度な機能を搭載することからスマートフォンと呼ばれている。Symbianは、富士通とNokiaが進めるスマートフォン計画と緊密に連携しており、NokiaはSymbianに出資する企業の1社でもある。
MicrosoftのExchange Server Product Groupで法人担当バイスプレジデントを務めるDave Thompsonは声明のなかで、「SymbianとMicrosoftが協力すれば、無線端末から社内の電子メールや(各種)データに直接アクセスできる顧客の数が大幅に増加する」と述べた。
Symbianのエグゼクティブバイスプレジデント、Marit Dovingは声明のなかで、「この提携は、Symbian OSのすべてのライセンシーがエンタープライズ市場のニーズを満たすのに役立つものになる」と述べている。
しかし、この提携はライバル同士が協力するという異例の展開でもあり、これが現在スマートフォン用OS市場の支配をねらう両社の緊張緩和につながる可能性も考えられる。今日、世界全体では約12億台の携帯電話機が出回っているが、このなかでスマートフォンの占める割合は微々たるものに過ぎない。しかし、スマートフォンは2010年までにはかなり普及するものとみられている。そして、現時点ではSymbianがこの市場を支配しているが、これはNokiaなどの端末メーカー各社がMicrosoftの携帯端末用ソフトウェアに興味を示していないためだ。
この提携はまた、MicrosoftがいかにNokiaとの提携に積極的であるかを示すものでもある。NokiaはこれまでMicrosoftとの提携に消極的で、自社をPC中心の世界からはずれた部外者として見なしてきている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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