「乾電池1本で1年間」--三菱電機など、超低消費電力ZigBeeの普及団体設立へ

永井美智子(CNET Japan編集部)2005年02月23日 20時33分

 三菱電機とルネサス テクノロジ、村田製作所、沖電気工業など10社は2月23日、近距離・低消費電力の無線通信規格であるZigBeeの普及活動を行う「ZigBee SIG(Special Interest Group)ジャパン」を設立することで合意したと発表した。特定非営利活動法人(NPO)として2005年夏の設立を目指す。

 ZigBeeは低消費電力を特徴とする無線通信方式。その消費電力は「乾電池1本で半年から1年の連続駆動が可能」(ルネサス テクノロジ事業戦略統括部ネットワークプロジェクト担当部長の坪井務氏)という。消費電力を抑えるため、通信速度は250kbpsと無線LANに比べて低速だ。日本国内の場合、使用する周波数帯はIEEE802.11bやBluetoothと同じ2.4GHz帯で、通信距離は10m〜70m程度という。法規制の問題から、欧州では868MHz帯を、米国では915MHz帯を使用する。物理層のインタフェースはIEEE802.15.4となっている。

  ZigBeeはもともとセンサー同士のネットワーク化を目的として開発された。ビルやマンション内の照明や空調の管理、セキュリティシステムなどで使うことを想定している。具体的には建物内で外光の入る窓際の照明は弱く、奥まった場所の照明は強くといったコントロールがZigBeeを使うことで簡単にできるようになる。また、鉄橋にセンサーを取り付け、自動車や強風による橋のたわみ具合などをリアルタイムに観測することもできる。

日本電気エンジニアリングが開発したZigBee組み込みモジュール

  無線技術を使うことで、既存の建築物でも配線工事をすることなく簡単にセンサーネットワークが取り付けられる。また、超低消費電力のため、電力を引かなくても設置が可能だ。「太陽電池などを使って、バッテリーレスにすることも検討している」(坪井氏)

  ZigBee SIGジャパンは日本市場におけるZigBeeの普及を目的としている。ZigBeeに関するマーケティングや技術教育を行うほか、日本市場の要求を吸い上げてZigBee Allianceにフィードバックする。ただし、機器の相互運用性の認証活動についてはZigBee Allianceが行う予定だ。

  ZigBee SIGジャパンの設立賛同企業は、沖電気工業、OTSL、新光電気工業、Chipcon ASジャパン、日本電気エンジニアリング、フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン、三菱電機、村田製作所、山武、ルネサス テクノロジの10社。

  ZigBee対応チップの量産は2005年末に開始される予定で、価格は3ドル程度となる見込み。2006年にはZigBee対応製品が市場に登場すると見られている。

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