ICタグ研究委員会は26日、出版業界におけるRFID(ICタグと無線認識システムの組み合わせ)の活用を検証するため、実証実験を開始すると発表、その具体的な説明会を行った。ICタグ研究委員会とは、出版業界各社が中心となって、書籍の万引き防止にRFIDを利用する方法を検討すべく昨年設立された委員会で、その後RFID関連ベンダーも加えた「ICタグ技術協力企業コンソーシアム」を結成している。今回の実証実験ではベンダー各社の協力の下で行われる。
RFIDで課題となっているのは、無線で利用する周波数が各国で違っていること。日本では現在、135kHz、13.56MHz、2.45GHzを使用しているが、国際的に通用するものではない。そのため今回の実証実験では、13.56MHz帯に加え、現在日本で利用することができないUHF帯を総務省の許可の下、利用することになる。
具体的には、RFIDタグを書籍に貼付し、リーダー/ライターを設置、流通倉庫や書店内で書籍に貼付されたRFIDタグがどのような干渉を受けるか、また与えるかを測定する。また、流通過程、店舗での書籍の販売、万引きなど、あらゆるシーンを想定し、障害物やタグの貼り付け位置などによって、タグの読取精度やレスポンスにどのような影響が出るかを測定する。
日本出版インフラセンター運営委員・講談社販売開発部次長、永井祥一氏 | |
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スケジュールとしては、9月に実証実験の詳細を検討、10月初旬から11月にかけて基本設計を行う。11月には開発に入り、年末に開発を完了、2004年1月よりシステムのテストに入る。
今回の実証実験にあたってICタグ研究委員会では、RFIDの出版業界における適応の可能性をより専門的に検討するため、分科会を設置する。分科会は、書籍にタグを装着するための技術を検証する「装着部会」、「タグ/リーダー/ライター部会」、そして「システムネットワーク部会」の3つで、ICタグ技術協力企業コンソーシアムの会員ベンダーが、自社で得意とする技術の部会に立候補するかたちで構成される。今年10月には分科会の活動を開始し、2004年初春には各部会から実証実験の中間報告に向けた取りまとめを行う。
実証実験は経済産業省が支援しており、予算は「現在交渉中」(日本出版インフラセンター運営委員・講談社販売開発部次長、永井祥一氏)。タグやリーダー/ライター、電波干渉測定技術など、実験に必要な機器や技術は、ICタグ技術協力企業コンソーシアム会員より公募し、ICタグ研究委員会が応募企業の実績や信頼性、コストの妥当性、実証実験に必要な組織力や体力、出版業界への貢献度などを元にベンダーを選考する。「実際に実験してみなくてはうまくいくかどうかわからない段階だが、経済産業省も積極的に支援してくれるので、まずはやってみようと思う」と、永井氏は述べた。
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