携帯ビジネス成功の鍵は“なんちゃって”サービス

永井美智子(CNET Japan編集部)2003年07月18日 20時01分

 Wireless Japan 2003最終日となる7月18日、KDDI執行役員の高橋誠氏がauのコンテンツ戦略について講演した。NTTドコモへのライバル心をあらわにした挑戦的な講演となった。

 まず高橋氏は、2003年4月から6月まで、3カ月連続でauが単月純増シェアで首位に立ったと紹介。またCDMA 2000 1xが第3世代携帯電話の国内シェア94%を占めていると順調さをアピールした。

 さらに2002年10月から導入したパケット通信料割引サービスによって、データトラフィック量が大幅に伸びたことも紹介。「以前からパケット料金を安くすることでユーザーの財布の紐を緩め、もっとコンテンツを使ってもらおうと考えていた」と語り、「トラフィックが増えたということは、コンテンツに対するユーザーのアプローチが増えたということ。このような環境を整備することで、コンテンツプロバイダとのコラボレーションを図っていくという計画が実践できている」と自信を見せた。

携帯電話は本格的でない機能が成功する

KDDI執行役員、高橋誠氏

 高橋氏は携帯ビジネスを成功させるためには、“なんちゃって”サービスが重要と語る。例としてNTTドコモが始めたiモードの携帯用ブラウザやメーラー、J-フォンの写メール、KDDIの着メロを挙げ、いずれもパソコンやデジカメ、音楽ダウンロードなどに比べ「本格的なものではない“なんちゃって”サービスだが、携帯電話と組み合わせることでその良さを引き出している」(高橋氏)と説明した。

 さらにauが7月3日からトライアルを開始した、商品代金を携帯電話料金と合算して請求する回収代行サービス「プレミアムEZ回収代行」についても、「クレジットカードのように本格的なものだと時間がかかる可能性があるが、“なんちゃって”なものであれば暗証番号を押すだけで決済がすむ。携帯電話の良いところを引き出す“なんちゃって”サービスが重要だ」(高橋氏)と語り、様々なサービスと携帯電話を組み合わせたサービスを今後も展開していくと話した。

 高橋氏は「着うた」サービスの現状についても紹介。着うたはauのビデオ配信サービスである「ezmovie」のフォーマットを利用し、着信を音声入りの楽曲で知らせるサービス。2002年12月にサービスを開始したが、高橋氏によると6月には総ダウンロード数が1000万曲を超えたという。高橋氏は着うたについて、「音楽のダウンロードに成功した世界で初めてのビジネスモデル」と自画自賛し、この成功を基にレコード会社との協力関係を深めていくとした。

次世代高速通信サービス「EV-DO」は準定額制に

 高橋氏は今年の秋にサービス開始が予定されているCDMA2000 1x EV-DOについても触れ、「準定額の料金設定になる」と紹介した。EV-DOは下り最大2.4Mbpsの高速データ通信サービス。「まだEV-DOのサービスを語るには時期が早い」(高橋氏)としながらも、「“いつでもつながる”をキーワードに展開していく」とその片鱗を明かす。価格についても、「CDMA 2000 1xより、FOMAより、J-フォンより安いパケット料金になる」と強調した。

Javaを捨て、BREWに一本化

 今後の端末戦略については、「NTTドコモは高価格の50xシリーズと低価格の20xシリーズという2種類の製品ラインナップを進めているが、KDDIのマーケットシェアはドコモよりも小さい。そのため、ユーザーに“響いた”サービスは全ての端末に入れていく」と高橋氏は語る。すでに動画機能が全ての端末に搭載されているが、高橋氏によると今後はアプリケーションプラットフォームのBREWも全ての端末に搭載していく予定だ。現在のau端末にはJavaが搭載されているものがほとんどだが、高橋氏によると「来年夏までにはBREW1本にしていく」として、JavaからBREWにシフトしていく方針を明らかにした。

 高橋氏は昨日NTTドコモ代表取締役社長の立川氏が「人ナビゲーションは需要がない」とコメントしたことについても触れ、「我々は“人ナビゲーションは必要”と考えている」と反論。「マーケット調査でもナビゲーションに対する要望は高い」と自社の戦略に自信を見せる。「携帯と衛星が2秒に1度通信を行うので、精度の高いナビゲーションができる」と語る。さらに「ドコモがやらないのであれば、うちは力を入れていく」と強気な姿勢を見せた。

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