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MVNOで新市場を開拓する--ウィルコムの拡大戦略
携帯電話やPHSの通信事業者から回線を借り、独自のモバイルサービスを提供する事業者「MVNO(Mobile Virtual Netwaork Operator)」の数は、日本ではまだ少ない。これは、回線を貸し出すことに携帯電話事業者が消極的なためだ。そんななか、PHSサービスを提供するウィルコムは、MVNOをむしろチャンスと捉えている。ウィルコムの勝算はどこにあるのか、1月25日に東京都内で開催された「MVNO+MVNEフォーラム2007」で代表取締役社長の喜久川政樹氏が語った。
喜久川氏はまず、ウィルコムの現状について「1995年の設立後、2004年にKDDIグループより資本独立した。2005年の音声定額サービス実施後は大幅に契約者が純増し、2006年8月には黒字転換を達成した」(喜久川氏)。また、ウィルコムの特色として、契約者の4割が法人であることや、携帯電話に比べて「3分の2から半分の料金」(喜久川氏)という安価な通信コストを武器にテレメタリングなど、いわゆるMtoM(Machine-to-Machine)の分野でも活発に事業を展開していること、さらには、高度化PHS規格である「W-OAM」(WILLCOM Optimized Adaptive Modulation)によって高速大容量化を進めていることをアピールした。
喜久川氏はまた、ウィルコムが他の携帯電話会社とは異なる事業戦略を取っていることを強調した。「従来の携帯電話事業者は、端末をすべて自社ブランド販売し、ISP事業も手がける垂直統合型だが、ウィルコムはAIR-EDGEによるモバイルデータ通信サービスに軸足を移したことで、PCと同じように水平展開型のオープンなモデルを展開してきた」(喜久川氏)。自社が得意とするのは無線通信の部分であり、パートナー企業が価値を付加し、カスタマイズした多種多様なサービスを手がけることで、新たな市場を開拓していると説明した。
W-SIMを核とする多様な協業の形を紹介
次いで喜久川氏は、ウィルコムが開発したPHS通信モジュール「W-SIM」が、MVNOも含めた他社とのパートナーシップに役立っていると説明。無線部分を本体から切り離して提供することで、端末開発に無線のノウハウが不要で、コスト、開発期間ともに短縮でできたことを、同社の「W-ZERO3」や同「es」などの事例を元に説明した。
ほかにも、パナソニック コミュニケーションズが開発したW-SIM対応の会議用スピーカーホンでは、有線の電話回線が不要で、通話定額と併せて遠隔地や取引先とも会議ができるシステムをローコストで提供できるとアピール。また、J-WAVEやスカイパーフェクトコミュニケーションズでは、同じくオープンなプラットフォームであるWindows Mobileを活用し、W-ZERO3やesを用いて、ネットラジオや動画配信のアプリケーションをバンドルして販売していると説明した。さらにネット証券の分野でも、W-ZERO3を株取引専用にカスタマイズして販売する内藤証券の実例を示し、特に年配のユーザーに好評を博しているとした。
データ通信の分野では、本田技研工業のカーテレマティックスサービス「インターナビ・プレミアムクラブ」で、ウィルコムのネットワークを用いてカーナビ専用定額サービスを提供している実例も紹介。状況に応じて目的地までの最適なルートを案内するダイナミックルートガイダンスサービス「インターナビVICS」なども、本田のブランドや販売チャネルを使って提供されていると説明した。
さらに、バンダイとの協業では、キッズケータイ「papipo!(パピポ)」の実例が紹介された。「よりユーザーにリーチしやすいバンダイのブランドや販売チャネルを用い、さらにはバンダイが独自に開発したエンターテインメントコンテンツなども提供し、コンテンツの課金収納代行はウィルコムがしている」(喜久川氏)
最後に喜久川氏は、改めてウィルコムにとってのMVNOの意義を説明した。マイクロセルによる小電力でも大容量というメリットがありながら、無線LANよりもエリア連続性があるサービスを提供していること、携帯電話に比べ低電磁波のPHS方式により病院や医療現場などでも場所を選ばないメリットなどを活用して、多くのパートナー企業と新たなマーケットを作っていけるとした。
「我々にとってMVNOとは、パートナー企業に新たなマーケットを作ってもらい、Win-Winの関係を作って行くこと。引き続きオープンなプラットフォームでコミュニティマーケットを開拓していきたい」(喜久川氏)
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