日立情報システムズ(日立情報)は9月13日、今後の事業展開について記者説明会を開催した。同社では、ITリソースや情報のプール化を進めるとしており、その第1弾としてデータ分析手法である「PI(Perspective Integration)手法」の提供と、クラウドソリューションのリニューアルを行うとした。
日立情報 取締役社長の原巖氏は、「わが社では、クラウドという言葉で表現されていなかった時代から、サービスやインフラ、情報などが“所有”から“利用”に変わっていくとしていた。この“プール化構想”を軸に、仮想化技術でインフラを整備し、SaaS化への対応などを進めてきた」と話す。原氏は、このプール化事業をさらに拡大させ、「2011年度には同事業を全体の売上の30%にまで引き上げたい」としている。
プール化事業のひとつとして日立情報が今後発表を予定しているのがPI手法だ。これは、データマイニング技術に加え、感覚的な要素も取り入れて分析するもので、日立情報 経営戦略統括本部 経営企画本部 アドバンストデータアナリシスセンター長の常定潔氏は「データマイニングという機能的な分析だけでなく、経営者の考え方、従業員のカンや知恵、アンケートによるユーザーの声など、感覚的な情報も計量して分析するもの」と説明する。こうした分析手法を使うことで、消費者を意識した戦略が策定できるという。
原氏は、「今、クラウドに足りないものは情報のプール化と、その情報の分析機能だ」と述べ、PI手法の重要性を主張する。このPI手法は、クラウドサービスの分析エンジンとして提供するほか、将来的には経営戦略に活用できるサービスやコンサルティングとしても提供していくという。
また日立情報では、クラウドが本格的な導入段階へと移行したことに伴い、クラウドソリューションをリニューアルしていく。リニューアルにあたって新しく提供するのが、「SaaSコンシェルジュサービス」と、「セキュリティクラウドサービス」の一部となる認証サービスだ。
SaaSコンシェルジュサービスは、他社が提供しているSaaSも含め複数のSaaSを連携させて業種ごとにテンプレート化し、「プログラミングレスでZLT(Zero Lead Time)の導入を目指すサービスだ」(日立情報 常務執行役員 古田茂雄氏)としている。現在同社では、アプリケーションの品ぞろえと連携基盤を準備中で、これらが整い次第、業種別テンプレートの開発に取り組むという。
セキュリティクラウドサービスの認証サービスは、IDやパスワードに加え、PKI認証や指静脈認証などでセキュリティを向上させるというもの。オンプレミス型とクラウド型の両方で同サービスを提供する予定で、「9月中にはサービスを開始したい」(古田氏)としている。
プール化事業と並行して、日立グループではグローバルに事業展開することを視野に、新入社員全員による海外研修を開始しており、原氏は「中小企業市場を中心に顧客のビジネスプロセスを革新する事業をグローバルに展開し、ZLTおよびプール化事業で世界の中小企業に新たな価値を提供したい。これが日立情報の目指す将来の姿だ」としている。同社では、今後アジアの現地企業に向けたサービスを拡大し、2015年には海外売上比率を35%にまで成長させたい考えだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス