ウェブ会議システムを提供するブイキューブは9月2日、米国のビデオコンテンツ事業者であるQumu Corporation(Qumu)と、戦略的パートナー提携をしたことを発表した。ブイキューブがこれまで強みとしてきたリアルタイム動画に加えて、ビデオコンテンツ管理の領域もサポートしていく。
Qumuは、企業向けビデオのコンテンツ作成から管理、配信、セキュリティを統合的に提供するソリューションを提供している。テンプレートを使用したビデオファイルの作成や、その国のOSに合わせた自動言語対応、グループごとの視聴制限や、社内ポータルとの連携、どれくらい動画が見られているかといった効果測定もできる。音声で動画内の特定のシーンを検索することも可能だ。
Qumuのビデオソリューションは、役員のメッセージや、従業員のトレーニング、新入社員の研修、社内チームの連携など、企業内のさまざまな用途で活用されているという。たとえば、米通信大手のAT&Tは、7500店舗に在籍する約7万人の従業員のトレーニングで活用し、実際に動画を視聴したかどうかをログ管理することで把握しているという。
またドイツ銀行は、アナリストが市場データをチェックして、その見解を毎朝Qumuを使って、社内メンバーに共有。その後、すぐに大口顧客にもメッセージを配信している。約1万3000人の従業員がいる決済企業のPayPalでは、毎週金曜日に約90秒間の社内ニュースを流すことで、各拠点の従業員のコミュニケーションを支えているという。
日本では富士通が約1年半前からQumuを採用しており、さまざまな社内トレーニングに活用されているそうだ。人事部や営業部など各部署が専用のチャンネルを70近く開設しており、これまでに社内で作成されたコンテンツ数は1000を超えるという。また、年間300回以上のライブ配信が実施されているとした。
これまで、サービスを自社開発してきたブイキューブだが、なぜQumuと提携することにしたのだろうか。ブイキューブ代表取締役社長の間下直晃氏によれば、Qumuに近いサービスとして「V-CUBE ビデオ」を提供していたが、やはり同社の強みはリアルタイム動画であると判断し、現在は販売を停止している状態なのだという。
しかし、社内向けの研修などで動画を使いたい、グローバル展開する上で動画のコミュニケーションをしたいといったニーズの増加から、エンタープライズビデオの市場は年々成長しており、同社の顧客からもそういった要望が増えていることから、Qumuと提携することにしたと経緯を説明する。
間下氏は「Qumuには山のように機能がある、それは、いろいろな顧客から求められた機能をどんどん開発して成長してきたから。そこに我々が追いつくべく開発投資をしても、とても回収できない。だからこそ世界ナンバーワンのQumuと組んだ」と語り、引き続き自社開発の強みが生きる分野では自社開発を続け、それ以外の分野については、Qumuのようにパートナーと組んでいく方針を示した。
今回の提携によって、ブイキューブはQumu日本法人のクムジャパンの経営に参画。クムジャパンは、ブイキューブの販売網を活用して、既存パートナ―と協力した販売や、顧客のニーズに合わせたソリューション開発や導入支援などをしていく。
また、リアルタイムかつ双方向のコミュニケーションを強みとするブイキューブと、オンデマンドを中心とした管理ソリューションが強みのQumuのサービス連携を進める。たとえば、ブイキューブで配信したウェブ会議の模様を参加できなかったメンバーに後日配信したり、セミナーの内容を1万人以上の社員に同時に配信するといったことを可能にする予定だ。
まずは、両サービスのAPI連携から始めるが、OEMでQumuのサービスをブイキューブのブランドで展開することも検討しているという。
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