1億円の赤字、役員の離反という経験から、吉田氏はいくつかの反省点を挙げた。1つ目は「単なるお金儲けに走っていた」ことへの反省だ。ビジョンなき事業では誰もついてこないと語る。2つ目は「自分の強みを活かしきれていかなった」ことだ。法人営業経験が長い職歴だったことから、慣れないコンサルやアパレルではなく、自身の強みが活きるビジネスモデルを考えるべきだと理解したという。
3つ目は「事業をひとつに絞れなかった」ことへの反省だ。複数の事業を同時並行でやっていると、担当役員は100%コミットでも、自身は20%や30%のコミットにならざるをえない。そうした状況では、自身が事業のボトルネックになってしまう。だからこそ、事業は1つに絞るべきだと吉田氏は語る。4つ目は「仕組み化できていなかった」ことだ。会員登録やメンバーシップ制など、ストックになりうる資産を構築する仕組みがなかったから、取引先などを引っこ抜かれる事案が発生すると指摘。5つ目は「自分一人でできることは小さい」ということへの理解だ。
「失敗して初めて出資の意味を理解した。今までは自分のお金や借りたお金だけでやっていたが、社会には成功者たちがそれまで作り上げてきたエコシステムがあり、出資はそのエコシステムの中に組み込むためのチケットだということ。良いものを作るだけではなく、エコシステムに入り一緒に押し上げてもらうことが出資の本質的な意味だと理解した」(吉田氏)。
こうした経験から、ネット産業で自分自身の強みが活きるビジネスモデルを考えた結果、現在のクラウドソーシングサービスに着手。車も売却し貯金のほとんどを投じてクラウドワークスをスタートし、協力者や出資者とともに事業を日々成長させているという。
「事業には3つのカーブがある。お金、事業、組織だ。お金は、周りからの出資などをもとに二次曲線的に急激に上がっていく。事業は、右肩上がりで進みつつも、ビジョンを常に忘れずに成長させていくことが大切だ。そして、組織はもっとも時間をかけながらじわじわと成長していく。事業のビジョンや理念に共感した仲間たちと、じっくり時間をかけながら信頼関係や組織文化を作っていくことで、企業は健全に成長していく」(吉田氏)。
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