東京の新名所として人気を集める東京スカイツリー。本業の放送用親局鉄塔として稼働するまで秒読み段階に入っているが、その正確な日時については「5月ごろ」というだけで明らかにされていない。いや、正確な日時を決めるに決められない、というのが現状だ。
この件と深く関係しているのが、在京6放送局が頻繁に実施している「東京スカイツリー受信確認テスト」だ。テレビ視聴中の告知、あるいは新聞テレビ欄につけられた色帯などを見て「何かやっているな」と認識している方も多いかと思う。
4月8日までに実施された受信確認テストは42回(4月12日までに54回を実施予定、その後も継続を検討)で、東京スカイツリー移行推進センターに寄せられた問い合わせ件数は約20万8000件。そのうち、対策が必要と判明したのは約8万6000件にのぼる。比較対象がないので評価は難しいが、まずまずの成果をあげているといえるだろう。
ところで、そもそも「受信確認テスト」とは何なのか。簡単に説明すると、東京スカイツリーからのテレビ電波を受信できるかどうかを確認するテストのこと。もう少し踏み込むと、親局が東京タワーから東京スカイツリーに移転するとテレビが観られなくなる世帯が生まれるかもしれないので、それを事前に把握して観られるようにするための対策のことだ。
この場合「今までは問題なく視聴できていた」「スカイツリーの近くに住んでいる」といったことは一切関係ない。電波障害の詳しい説明は避けるが、ゆくゆくはテレビが観られなくなる恐れがあるため、受信確認テストを実施している時間にテレビをつけてみることをお勧めする(録画でも可)。
なおテストを実施する際、切り替え直後のタイミングで多少の乱れが出ることがあるが、これはセーフの判定。アウトの場合は常時ブロックノイズや音の乱れが生じ、完全に画面がブラックアウトしてしまうこともある。
対策工事の内容はアンテナ調整から増幅器(ブースター)調整、共同受信設備の調整などさまざまだが、どんな規模の対策になろうとも料金は完全無料だ。ケーブルテレビや光ファイバー経由で視聴する世帯については、それぞれの事業者が対応する。
今なら工事が終わるまで親局移転は行わない上、工事費用もテレビ局が負担する。また、移転後に問題が確認された場合もおそらく工事費用を負担してくれるが、一時的にテレビが視聴できなくなる状況は避けられない。繰り返すが、現在は移転日時を決めずに各視聴世帯の対策工事終了を待っているのだ。
では、いつまで親局移転を待機できるのか。ある在京局に問い合わせたところ「本当に決まっていない」との返事だった。「各家庭でテレビを視聴する方法はさまざまであり、事情も一軒ごとに異なる。そのため対策が必要な世帯の規模がつかめず、目標達成数値が設定できない」(在京局広報)ためだ。
少なくとも現在進行中の各世帯対策工事が終了するまで移転できないことは確実で、今後も新たな対策工事が発生する可能性もある。「移転後に放送が受信できない家庭が出ることは何としても避けたいので、当面は受信確認テストを繰り返すとともに鋭意工事をすすめていく」(同)としているが、終わりの見えないマラソンのような状況が続いている。
スカイツリーへの親局移転は放送局側が一方的に決めたことだが、すでに建物が完成している以上、移転自体が取りやめになることはないだろう。今後、受信確認テストで問題を確認した際には、東京スカイツリー受信相談コールセンター(0570-01-5150)まで連絡してほしい。
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