6月7日に開催された「Adobe Innovation Forum 2012」のジェネラルセッションでは、米Adobe Systemsのエバンジェリスト(カスタマーアナリティクス)、Brent Dykes氏が「Webアナリティクスのアクションヒーローになるには」と題して講演を行なった。
Dykes氏は、Webアナリティクス(分析)におけるアクションヒーローの役割を論じた「Web Analytics Action Hero: Using Analysis to Gain Insight and Optimize Your Business」の著者だ。講演では、同書の内容を踏まえながら、企業がWebの分析にどう取り組み、デジタルマーケティング活動を進めていくのが望ましいかについて「アクションヒーロー」の視点から解説した。
同氏によると、アクションヒーローとは、ビジネスをドライブする役割をもった人材を、アクション映画などで活躍する主人公になぞらえたものだ。
「例えば、インディー・ジョーンズの好奇心と粘り強さ、シャーロック・ホームズの知性と分析力、身近なリソースを武器にしてしまうマクガイバーの革新性、ブルース・リーの勇気と圧倒的な力。それらに加え、データに対して多角的なものの見方、考え方ができる能力を持った人材のことだ」(Dykes氏)
アクションヒーローが求められる背景としては、企業のマーケティング活動をめぐる状況が変化していることが挙げられる。同氏は、20世紀初頭に活躍した米国のデパート王John Wanamakerの言葉である「広告費の半分がムダなのは分かっている。問題は、どちらの半分なのかが分からないことだ」を取り上げ、次のように続けた。
「John Wanamakerは優れたマーケターでもあった。彼の言うように、広告費、マーケティング予算の半分は何に使われているか分からないという事情は今も変わらない。だが、彼の時代は『データが少ない』ために分からなかったが、今は『データが豊富にありすぎる』ために分からなくなっているという違いがある」(Dykes氏)
これはデータを使いこなしていないという意味だ。コロンビア・ビジネススクールの調査では、91%のマーケターは顧客データに基づいて意思決定をしたいと思っていて、100%のCMO(最高マーケティング責任者)はマーケティングの意思決定にデータが重要だと回答している。しかし、実際は、マーケティング予算のROI分析はほとんど行われていないという。例えば、同じ調査では68%のマーケターが過去の履歴だけを元にして予算を決めている。また、28%は個人の直感を頼りに予算を決めている。さらには、ROIという言葉を市場でのブランド認知度とみなすような根本的な誤解も多いという。
「経済状況が厳しいので、マーケターは、少ない予算で最大の効果を上げることが求められている。失敗した場合のリスクが増し、ミスもしにくくなっている。だが、そんななかだからこそ、データを怖がらず、テクノロジーを理解し、デジタルマーケティングを実践できる人が必要だ。それが、Webアナリティクスのアクションヒーローということだ」(Dykes氏)
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