ザッカーバーグ氏にハッカーが熱狂--ハッカソン優勝のザワットがイベントを振り返る

 日本のFacebookハッカー達が熱狂に包まれた――3月29日に開催されたFacebook主催の開発者向けイベント「Facebook Mobile Hack Tokyo」にFacebookのCEOであるMark Zuckerberg氏がサプライズで登場。集ったハッカー達を応援したのだ。

 Facebook Mobile Hack Tokyoは、技術者を中心にした150名ほどが参加したイベント。朝の10時から午後4時頃まで、Facebookの最新技術、特にモバイル関連技術についてのセミナーをFacebookのスタッフが行った。技術者限定で限られたメンバーしか参加できないクローズドなイベントではあったが、参加者間の情報交換は非常にオープンで、イベント参加者専用に開設されたFacebookグループ内にてプレゼン資料がダウンロードできたり、Facebookのスタッフと技術に関するQ&Aを自由に行えたりした。

パーカーとジーンズで登場したZuckerberg氏

 Zuckerberg氏が登場したのは開発セミナーが終わり、後半に行われたハッカソン(参加者が指定時間内でサービスを開発する形式のイベント)に移ってしばらく経った後だった。淡々と自分たちの作品を開発している最中、ふいに壇上に現れたZuckerberg氏。参加したハッカー達は一瞬、何が起きたのか分からない状況だったが、彼が誰かを認識すると、すぐに会場は熱狂に包まれることになった。

  • Facebook CEOのMark Zuckerberg氏

 ほかのメディアでも報じられたとおり、彼は堅苦しいスーツ姿での総理官邸で野田佳彦首相との会談を終えた後、普段着のラフなパーカーとジーンズに着替え、彼の愛するFacebookをハックする開発者たちの現場に足を向けたのであった。壇上で応援メッセージを送ったあと、彼は非常にリラックスした雰囲気で、開発者達の作品を見て周り、直接アドバイスや感想を伝え、コミュニケーションを取っていた。Zuckerberg氏は終始、穏やかな態度でハッカーと交流し、楽しそうな笑顔を振りまいていた。

最もFacebookをハックしたサービスは?

 サプライズに興奮しつつも、時計の針は進む。会場のハッカー達はFacebookグループで開発仲間を募集したり、用意された豪華な食事を楽しんだり、1人で黙々と開発に専念したりしていた。筆者は2011年にサンフランシスコで開催されたTechCrunch Disuruptのハッカソンに参加しているが、それと同様にクリエイティブで熱量の高い濃密な時間を過ごした。

 Facebookグループに開発したサービスとチームメンバー、エントリーするジャンルを投稿。午後9時15分を回る頃には投稿は締め切られ、結果として15組ほどがプレゼンテーションのエントリーまでたどり着いた。

 プレゼンテーションは各チーム2分。デモを行った後、Facebookスタッフや日本のベンチャーキャピタリストで構成された審査員からの質疑応答に答えるスタイルだ。開催趣旨が「Facebookをハックしたアプリを作り、発表する」ということだったため、すでにローンチ済みのサービスのプレゼンテーションも許可されていた。そのため、「できたてのサービス」と「既存サービスにFacebookの新しい技術を組み入れてバージョンアップしたサービス」の2種が混在する形となった。筆者の所属するザワットは、当日ゼロから5時間ほどで開発した「お名前クイズダレカナ?-Who is this?」と、2011年12月にローンチした「WishScope」に、新機能を追加した2つのサービスでエントリーし、プレゼンテーションを行った。

 ソーシャルグラフやインタレストグラフ、オープングラフなど様々なFacebookのリソースをハックしたユニークなサービスの発表が終わり、受賞作品の発表へ。

 その結果、Best Mobile Social App賞として「CheckInAlbum」、Best Mobile Social Game賞として「Corollin Planet」、Best Mobile Social Open Graph implementation賞として「美人時計+」が選定された。

 我々のチームのサービス名が読み上げられず、少々落ち込んでいたところに、「さぁ、そしてFacebook Mobile Hackのベストアワードの発表です」というアナウンス。そこでWishScopeの名前がコールされた。

 今回のイベントに向けて新機能をつけたとは言え、既存のサービス。まさに“棚からぼた餅”で大変驚き、喜んだ。しかしその半面、その場でゼロで開発した「お名前クイズダレカナ?-Who is this?」が一押しのプロダクトだったため歯がゆい気持ちもあったのは正直なところだった。


今回、記事を寄稿してくれたザワット 代表取締役CEOの原田大作氏(右)とZuckerberg氏(左)

 こうして筆者らは表彰を受け、賞品の「Xperia S」を頂戴した。表彰後に審査員の方に受賞の理由を聞いたところ、「最もFacebookの情報を上手にハックしているから」ということだった。Zuckerberg氏からは「コンセプトが超クールなので、どんどんFacebook内でバイラルさせる仕組みがあるといいね」とのアドバイスもあった。まさに開発中の機能がFacebookの「Request Dialog API」を利用したバイラル性向上のための機能だったので、一瞬で要点を見抜かれたことに驚いた。

 WishScopeは、当日発表した新機能を搭載した上で、4月にもiPhoneアプリ、Androidアプリをリリースする予定だ。また、すでに展開しているウェブ版(PCおよびスマートフォン向け)も一気にリニューアルする予定だ。Facebookにも認められたソーシャルグラフを活用した新機能を楽しみにしていただきたい。

 長い1日は学びとサプライズの連続で幕を閉じた。イベントに参加して、Facebookはハッカーを心底愛しており、ハッカー達もまた、Facebookを愛して止まないという相思相愛なコミュニティがこの日本でも育まれていることを強く感じた。月間アクティブユーザーが1000万人を超え、ソフトバンクの孫氏もついに参加し、首相官邸のページも立ち上がった。これからのFacebookの日本での存在感が強固なものになっていくことは、間違いないものになるだろうと確信した夜だった。

ザワット 代表取締役CEO 原田大作

サイバードでECシステムの構築やモバイルコンテンツ等の新規立ち上げ、ウォルト・ディズニーでソーシャルゲーム事業の立ち上げを経験し、2011年にザワットを設立。ザワットでは「○○を買いたい」「○○な仲間募集」といった日常生活の中での「お願い」を投稿すると、興味や関心が近いユーザーがかなえてくれるサービス「WishScope」を提供している。

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