PDAの開発で知られるPalmが、コンピュータ大手Hewlett-Packard(HP)に買収されることになった。
両社は米国時間4月28日の株式取引終了後、HPがPalmを12億ドルで買収することを発表した。1株当たり5.70ドルの提案額は、株式取引終了時点のPalm株価を23%上回るものとなる。今回の買収は、両社取締役会で承認を既に得られており、7月末までの完了が予定されている。
今回の買収により、IT業界においてかつて最も勢いのあった企業の1社であったPalmが、静かに終わりを迎えることになる。コンピュータネットワーキングメーカー3Comから10年前に分社化されたPalmは、当時生まれたばかりのハンドヘルドコンピューティング市場の70%以上を占めることとなった。しかし、マネージメント上の問題やモバイルコンピューティングデバイス「Foleo」などに見られる製品の失敗に加えて、Microsoft、Research in Motion(RIM)、Apple、Googleなどの企業との厳しい競争により、Palmは勢いを失った。
2007年には、4億6000万ドルの投資をプライベートエクイティ企業Elevation Partnersから受けたこと、また、Foleoを発表したことで、復活が期待されたが、そのようにはならなかった。Elevation Partnersは、この投資において2500万ドルの利益を得るにとどまると考えられている。
HPによる買収により、依然評価の高いPalmの技術(特に、同社の新モバイルOS「webOS」)は、資金力があり、Palm内部の仕組みに詳しい企業に保有されることになる。HPのPersonal Systems Groupでエグゼクティブバイスプレジデントを務めるTodd Bradley氏は、2002年から2005年までPalmの最高経営責任者(CEO)を務めていた。
Bradley氏は、「Palmの革新的なOSは、HPのモビリティ戦略の拡大と多数のモバイル接続デバイスに及ぶユニークなHPのエクスペリエンスの創造にふさわしいプラットフォームを提供する」と声明で述べた。「そして、Palmは、多くのIP資産と技術力の高いチームを持っている」(Bradley氏)
HPにおいては、Palmが持つweb OS、そして、ネットブックから電話機にわたる多くのモバイル製品に興味を示すという兆候が既にある。また、Palmには健全な特許ポートフォリオがある。これは、MicrosoftとAppleがここ数カ月において自社モバイル技術特許の適用に務めていることから重要度が増している。
Palmの買収により、「HPは、強力なOSと2000以上のアプリケーションを持つアプリケーションストアを獲得することになる」とBradley氏は付け加える。同氏は、電話会見において、webOSのマルチタスク機能と貴重な知的財産ポートフォリオについて特に強調した(HPが28日に提供した資料によると、Palmが保有する特許は1650件になるという)。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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