配電網を近代化する取り組みが世界中で定着するなか、少なくとも北米においては、このコンセプトを消費者に受け入れてもらうのは困難な作業になるだろう、ということを示す証拠が次々に出てきている。
ソフトウェア大手のOracleが米国時間3月23日に発表した調査結果では、電力会社の幹部らがスマートグリッドに注力していることが明らかになったが、それと同時に、彼らの多くが消費者の反発を招くかもしれない料金値上げの可能性について懸念していることも分かった。
スマートグリッドは、信頼性と効率性の向上を目的としたデジタル通信による配電システムのアップグレードや、太陽光発電や風力発電の促進支援といったさまざまな面を表す。Oracleの調査によれば、幹部らは現時点での最優先事項は、信頼性の向上とスマートメーターの設置、ピーク時料金を含む需要反応プログラムの確立であると述べているという。
スマートメーターがあれば、消費者は自分たちの電力使用状況についてより詳細な情報を得ることが可能になり、電気料金を節約する方法を見つけやすくなるだろう。例えば、テキサス州のあるエネルギープロバイダーは、利用者が最も電力を消費している機器を確認したり、使用パターンに関するデータを入手したりできるウェブサイトを開設している。こうした情報によって、利用者は電力をより効率的に使えるようになる。
需要反応プログラムは、配電網の能力に負担がかかる夏などのピーク時に電力使用を抑制するように設計されている。消費者にインセンティブを与えて、温水器の温度を自動調整してもらったり、夜の遅い時間に食器洗い機を使ってもらったりすることで、電力会社は需要増大に対応するために新たな発電所を建設するのを避けることができる。
調査結果によれば、消費者にとって最も魅力的な製品は、家庭内エネルギーディスプレイと従来のものより効率的に作動するスマートアプライアンスになるだろう、と電力会社の幹部らは見込んでいるという。
しかし、電力会社は消費者がより信頼性の高いサービスと効率性の利点を理解してくれると考えているものの、米国の電力会社の多くは、試験的に動いている。電力会社幹部のうち、システム全体にわたる導入を行っていると答えたのは、わずか5人に1人だった。
電力会社は時間をかけてテクノロジを採用することで知られている。その理由の1つは、彼らの最優先事項が信頼性だからだ。さらに、Oracle調査の回答者の43%は、料金の値上げに対する消費者の反応を心配していると述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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