UPDATE 米司法省は米国時間2月12日、フィラデルフィアの第3巡回区連邦控訴裁判所において、米連邦捜査局(FBI)などの法執行機関が、米国人の携帯電話の位置を知るために捜査令状を取る必要はないと述べた。
司法省刑事局の上級検事Mark Eckenwiler氏は控訴裁に対し、携帯電話やモバイル端末のおおよその位置を特定できる携帯電話会社からの記録を入手するにあたり、憲法上の問題はないとの見解を示した。
Eckenwiler氏は、「通信サービスプロバイダーが保有する通常業務上の記録」を入手するうえで「憲法上の障壁はない」と述べ、「政府は、追跡装置を使用する際に令状を用いる必要はない」と付け加えた。
令状なしの位置追跡は、控訴裁において争点となるのは今回が初めてであり、政府による監視について、また、米国人が自身の(あるいは少なくとも自身の携帯電話の)位置に関するプライバシーに対して合理的な期待を持てるかどうかについて、新たな問題を提起するものだ。
第3巡回区控訴裁の裁判官Dolores Sloviter氏はEckenwiler氏を厳しく問いただし、その中で、位置データは人々が「抗議行動や会合、または政治集会に参加して」いるか否かを明らかにし得るほか、暴走した政府がこうした情報を悪用する可能性もあると述べた。
わずか数年前まで、携帯電話の追跡は「エネミー・オブ・アメリカ」や「ダイ・ハード4.0」といったスリラー映画の世界の話だった。現在、警察は年間数千回にわたり携帯電話の位置情報を利用しているものの、根拠となる法規は不明瞭のままで、約30年も前に制定された連邦プライバシー法は多くの点で曖昧さを残している。
サンフランシスコ大学の法律学教授Susan Freiwald氏は2月12日、控訴裁で次のように述べた。「政府は、携帯電話の位置情報の履歴を取得する場合、実質的にわれわれの携帯電話を乗っ取り、われわれがどこにいて、どのくらいの時間をそこで過ごしたのか、われわれの知らないところで同意なしに報告する電子追跡装置へと変貌させる。われわれは、自らのあらゆる行動や交友関係に関するバーチャルマップを政府に作成させることなく、携帯電話を使えてしかるべきだ」
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