オープンソース支援団体のOpen Invention Network(OIN)は米国時間9月8日、このほどMicrosoftが売却した、Linuxを攻撃するために悪用される可能性があるとOINの指摘している22の特許を買い取ったことを発表した。
OINは、これらの特許を、Allied Security Trust(AST)として知られる団体を通じて、Microsoftから購入したことを明らかにしている。OINは購入金額については公表を避けたものの、現在はASTから同特許を買い取って保有していると語った。
OINの最高経営責任者(CEO)であるKeith Bergelt氏は「今回の発表により、Linuxと関連があるかもしれない特許を取得する上で、引き続きOINが多大の努力を払っていることが如実に示された。こうした特許が、実際には業務に携わっていない団体のもとに置かれるようになれば、その特許のクオリティや、本当にLinuxと直接的に関連するかどうかにかかわらず、ある種の脅威となる可能性があったものの、それは今回の買い取りによって阻止することができた」との声明を出している。
また、ASTも、これらの特許をOINが買い取ったことを喜ばしく感じていると語った。ASTのチーフエグゼクティブであるDan McCurdy氏は「これらの重要な特許がOINによって買い取られたことで、Linuxの促進を目指す多くの企業または個人の妨害およびLinuxの崩壊を目論む第三者やパテントトロールによる特許の悪用は阻止されることになるだろう」との声明を発表した。
Wall Street Journal(WSJ)は7日、まもなくOINが、以前はMicrosoftが保有していた特許を買い取る予定であると報じていた。
Bergelt氏はインタビューに応じて、特許買収の入札に加わるようにと、MicrosoftからOINが直接招かれたわけではないと語っており、もしかするとMicrosoftは、ただ特許の売却金額の上昇を狙うのではなく、Linuxを攻撃の対象とすることを望む第三者へと売却しようと考えていたのではないかとの懸念さえ生じている。
Bergelt氏は「Microsoftが売却しようとしていた特許ポートフォリオの入札には参加する機会が差し伸べられなかった」と述べている。
一方、Microsoftは、これらの特許を7月にASTへと売却したことを認めているものの、売却条件に関する詳細を明らかにしようとはしなかった。Microsoftは、これらの特許に関して、まさに数年前に米Silicon Graphics(SGI)との取引を通じて取得するに至ったものであることを認めた。
Microsoftの広報担当であるMichael Marinello氏は「これらの特許は、当社の事業や知的財産ポートフォリオにおいて核となる必須の存在ではないと考えられた。この特許技術に関心がある買い手が特定され、社内および買い手の候補者との協議を進めた上で、今回の決定こそ、これら一連の特許に関連して取り得る最善の策であると感じるに至った」と述べる声明を出している。
OINは2005年に立ち上げられ、IBM、ソニー、Red Hat、Googleなどが加盟している。現在は解決に至ったものの、Microsoftとの特許訴訟の期間中に、TomTomも2009年に入ってOINに加わった。
Microsoftは長年、LinuxはMicrosoftの数々の特許を侵害していると主張し続けてきたが、その主張をMicrosoftが法廷に持ち込んだのは、TomTomに対する訴訟が初めてだった。Linuxに関連した主張は、TomTomに対するMicrosoftの訴訟に含まれていた。
Bergelt氏は、Linuxをベースに事業を行う企業が、さらなる法的な訴訟行為などのターゲットとなるのを避けるため、今回の特許の買い取りに及んだことを明らかにしている。「今回のケースに関しては、これらの特許がLinuxの存在を危うくする非常に重要なものであるとの認識を抱いていたのではない。むしろ、一連の特許と関連して、潜在的な挑戦が引き起こされる危険を抑えることが目指されたのだ」と、Bergelt氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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