NECは7月1日、「デジタルサイネージ事業の強化」に関する記者会見を開いた。会見では、デジタルサイネージの配信基盤の構築から、コンテンツの作成や運用までを一本化して提供するサービスを「PanelDirector」のブランド名で展開することが発表された。7月より提供を開始する。
NEC、通信・メディアソリューション事業本部の岡本路夫氏は、PanelDirectorについて、「NECが1998年より取り組んできたデジタルサイネージ事業のノウハウをもとに、ユーザー企業と視聴者との双方向性を重点的に組み入れて、最新の提供形態としてサービス化した」と説明する。
PanelDirectorでは、人の動きを検出する「視認効果測定サービス」で、視聴者の性別や年齢のほか、コンテンツに対する興味の度合いを測定し、さらに「プランニングサービス」では、視認効果測定サービスで得た情報を元に、効果的なコンテンツの作成を支援するという。
視認効果測定サービスでは、同社の視認効果測定技術を用いて、視聴者の属性を測定する。視聴者の性別や年齢を測定する顔認識センシング技術では、90%の確率で性別を判別でき、年齢では70%の精度で10歳おきの測定が可能だという。これにより、リアルタイムで年代に合わせたコンテンツを表示できると共に、視聴者の属性によっては、同社の赤外線システム「IrShooter」を利用したモバイルクーポンの提供ができるとしている。このほか、ディスプレイ前に滞在している時間や距離から興味の度合いを測る技術や、海外展開を視野に入れた多人種対応の技術も搭載しているという。
これらの測定効果で得られたデータをもとに、ユーザー企業に対して、時間帯、地域別にターゲティング広告の配信を提案する。プランニングサービスでは、コンテンツ表示(Do)、視認効果測定(Check)、コンテンツ内容の見直し(Act)、コンテンツ企画(Plan)のサイクルによる、継続的なコンテンツ改善を図る。価格は、基本的な配信サービスで1パネル(32型)あたり3万円/月からとなっている。
NECによると、国内における2008年度デジタルサイネージ市場規模は約500億円で、同社が占めるシェアは20%にのぼるという。また、同年度におけるデジタルサイネージ事業の売上は20億から30億円としており、今後3年間で、国内外におけるビジネスを500億円規模に拡大するとしている。
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