米証券取引委員会(SEC)は、Appleが、同社最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏の健康問題をめぐる、一連の情報開示を行った手法に関して、その適法性などの詳細を調査しているとの報道が、この件に詳しいある情報筋の話を引用し、Bloombergによって伝えられた。2009年1月に入って、Jobs氏は、健康上の問題を理由に、6カ月の間、一時的にCEO職を離れることを発表した。
2008年6月に開催されたWorldwide Developers Conference(WWDC)で、痩せこけ、やつれたようにさえ見えたJobs氏の健康状態をめぐり、多くの投資家が、その後の半年間は懸念を表明してきたが、ついにAppleは、12月の半ばに、2009年1月開催のMacworldで、Jobs氏が基調講演を行うことはなく、それ以降はAppleがMacworldからも撤退するとの発表を行うに至った。
当時、Appleは、Jobs氏がMacworldに不参加となるため、代わりにワールドワイドプロダクトマーケティング担当シニアバイスプレジデントのPhil Schiller氏が基調講演に登壇するとだけ、明らかにしていた。その後、まさにMacworldの開催前夜になって、ホルモンの不均衡という健康上の問題をJobs氏が抱えており、現在、その治療に「取り組んでいる」ことを公表したのだ。
また、Macworldの1週間後に、Jobs氏は、自身の健康状態に関する新たな情報を伝え、当初考えられていたよりも複雑な状況に陥っており、それを理由に、6カ月に渡って、CEO職から離れるとの発表がなされた。
21日のBloombergの報道によれば、SECの捜査官は、当初のAppleの発表が、投資家らを誤導するものとなったのではないかという点に着目し、調査を進めているという。
これまでもAppleは、日に日にやつれていくように見えるJobs氏の健康状態に関して、明白な情報公開が速やかに行われないとの不満を募らせる多くの投資家から、その情報公開手法をめぐる論争の的となってきた。
Jobs氏の健康状態をめぐる、一連の報道内容や、同社の開示情報に反応して、Appleの株価も乱高下を繰り返してきた。偶像視されているトップの思想は、多くの投資家にとって、新たな市場や製品の発表へと企業を導く上でも、まさに最高の存在と考えられている。
Jobs氏は2004年に、特殊なすい臓ガンの手術を受けており、同氏は、成功裏に治療を終えたと語っていた。
Bloombergは先週、「Jobs氏の病状を監視している」という匿名の情報筋の話を引用して、2004年に行ったすい臓ガン手術後に合併症が生じたことを受け、Jobs氏が肝臓移植を検討していると伝えた。
SECの広報担当は、Jobs氏の健康問題についてのAppleの情報開示姿勢に関して、実際に調査を進めているのかどうかをめぐり、コメントするのを拒んでいる。
SECは、法廷や行政法判事などを通じて、なんらかの司法措置が取られるに至るまでは、調査について公表することはない。
この件に関して、Appleにコメントを求めたが、すぐには回答を得られなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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