米連邦通信委員会(FCC)は米国時間8月1日、インターネットサービスプロバイダー(ISP)のComcastが2007年にPtoP技術を提供するBitTorrentのトラフィックをブロックした行為の違法性について採決を行い、3対2で同行為の違法性を認定した。米国のブロードバンドプロバイダーがネットの中立性に関するルールに違反したと認定されたのは今回が初めて。
FCCはComcastに対し、ブロックの停止命令を下すとともに、今後、加入者にトラフィックの運用計画を明らかにするよう命じた。Comcastは、BitTorrentのトラフィックを減速させる措置は、ネットワークのオーバーランを防ぐために必要だったと主張していた。Comcastは3月にBitTorrentに対するブロック行為を自主的に停止している。
FCCのKevin Martin委員長(共和党)は「われわれは、消費者のアクセスを保護する必要がある」とし、さらに「Comcastは恣意的なブロックを停止すると公約したが、消費者はその公約が法執行によって支えられていることを知る資格がある」と付け加えた。
この採決の結果は予想外だったわけではない。Martin氏は最近、Free Pressとその政治的同盟者(その中にはエール大学、ハーバード大学、スタンフォード大学のロースクールの教授も含まれている)が11月に同委員会に提出したISPによるトラフィックの妨害行為禁止の要望書について、FCCの2人の民主党委員を支持する予定だと発表していた。この発表を受け、Bush政権や共和党下院議員のリーダー、John Boehner氏など、経済的保守派は今週、Martin氏を強く批判した。
また、今回の認定は法廷でも問題になる可能性が高い。2006年に米議会は、FCCにネット中立性違反を監視する権限を認める5つの異なる法案を否決した。FCCも、ネットの中立性に関するFCC独自の原則に「法的強制力」がないことを認めている。さらに最高裁判所も過去に、FCCは「議会から権限が与えられない限り」(ネットの中立性に違反する行為を)規制する権限はない、との判決を下している。
Comcastは1日に出した声明の中で次のように述べている。「FCCの命令は、正当な法の手続きに関する重大な懸念、および、さまざまな実質的な法的問題を提起した(と考えている)。現在、われわれはあらゆる法的手段を検討している。われわれは、この問題をこれ以上長引かせないために早期に和解しようと努めてきたが、その努力がFCCに受け入れられなかったことに失望している」
FCCの裁定の詳細はまだ明らかにされておらず、発表まで2〜3週間はかかるだろう。Martin氏によると、Comcastに罰金は科されないが、FCCは、連邦政府の役人らが、将来のネットワーク管理手法が許容しうるものか否かを判断できる新たな法的「枠組み」を導入したという。しかし、裁定に反対した2人の共和党委員によると、二人が(Comcastに対する)命令書の最終版を受け取ったのは昨晩(7月31日)遅くで、しかもまだ公表されていないという。その命令書には、通常、政府の政策が違法か否かを判断するために用意される「厳格な審査」テストの一種も含まれているようだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」