「最後の授業」で多くの人に感銘を与えたカーネギーメロン大学コンピュータ科学教授Randy Pausch氏が、米国時間7月25日、膵臓がんに伴う合併症によりバージニア州の自宅で死去した。47歳だった。
2006年9月に発見された膵臓がんを抱えつつ、多くの大学で行われている人生について深く考える授業シリーズの一環として、同氏が2007年9月にカーネギーメロン大学で行った「最後の授業」は多くの聴講者を集めただけでなく、インターネットを通じて世界中の人が視聴し大きな反響を呼んだ。
「子供の頃の夢を本気で実現すること」と題されたその講義の中で、同氏は、プロのアメフト選手になること、無重力を体験すること、ウォルトディスニーのイマジニアリング部門と協力して遊園地の乗り物を仮想現実で作ることなど、自身の子供時代の夢を実現するために行ったさまざまな努力をユーモアたっぷりに語った。
プレゼンテーションの中で同氏は写真も紹介した。そのなかには1965年に写された故郷デラウェア州レホボスビーチでの少年時代の姿、自身をむしばむ巨大な腫瘍を示すPET画像、思い出に残る学生、同僚、上司の写真などがあった。
そして、講義に一貫して流れていたのは、他者を助け、障害物があっても夢を追い続けるという、同氏の考え方だ。ブラウン大学を卒業しカーネギーメロン大学で博士号(コンピュータ科学)を授与された同氏だが、当初はどちらの大学からも入学を許可されなかったと告白し、そうした障害に負けず何とかして道を切り開いたと語った。
そして教授となってからは、仮想現実研究の先駆者となり、いくつかの賞を授与されている。カーネギーメロン大学Human-Computer Interaction Instituteの主要メンバーであり、アーティストと技術者を融合した修士課程Entertainment Technology Centerの創設者の一人ともなった。若い人々にコンピュータプログラミングを教えるための双方向型プログラムAliceの作成にも携わっている。
同氏の遺訓は、Wall Street JournalのコラムニストJeff Zaslow氏の支援により書籍としてこの春出版され、ベストセラーとなった。
妻Jaiさんと3人の子供たち、Chloeちゃん、Dylanくん、Loganくんが残された。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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