ソニーは8月23日、ブドウ糖で発電するバイオ電池を開発したと発表した。
ブドウ糖は、太陽光を受けた植物が光合成によって合成する物質のひとつ。地球上に豊富に存在する再生可能なエネルギー源として、ブドウ糖で発電するバイオ電池は環境に配慮した将来のエネルギーデバイスとして期待されている。
今回開発したバイオ電池の構造は、負極側にブドウ糖を分解する酵素と電子伝達物質を固定化した電極、正極側に酸素を還元する酵素と電子伝達物質を固定化した電極がセパレータを挟んで配備されている。
発電の仕組みは、負極側で外部からブドウ糖(グルコース)の水溶液を取り込み、ブドウ糖を酵素で酸化分解する際に電子と水素イオンを取り出し、取り出した水素イオンがセパレータを介して、負極側から正極側に移動。正極側では、空気中の酸素を取り込み、電子と水素イオンによる還元反応によって水が生成され、この一連の電気化学反応を通じて、電子が外部回路を移動する際に、電気エネルギーが生成される。
同社では、ブドウ糖を効率的に分解して電気エネルギーを取り出せるよう、酵素と電子伝導を助けるための電子伝達物質を活性を維持した状態で高密度に電極(負極)に固定化する技術を開発。また、反応に必要な酸素を効率的に取り込めるように、電極(正極)内の水分を適度に保つ技術を開発し、世界最高の50mWの出力を達成している。今回試作したバイオ電池により、ウォークマン(メモリータイプ)による音楽再生を実現した。
ソニーでは、今後も酵素固定化方法や電極材料の開発による発電性能や耐久性の向上など、さまざまな要素技術の研究開発を行い、ブドウ糖で発電するバイオ電池の実用化を目指す。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」