著作権侵害に対する防止キャンペーンや取り締まりでよく知られるソフトウェア業界団体が、今度は自分の働いている職場で発生している最も悪質な著作権侵害事件を告発した人に対して、最高で100万ドルを支払うキャンペーンを展開している。
ソフトウェア業界団体のBusiness Software Alliance(BSA)は米国時間7月2日、7月〜10月の期間中、同団体が「謝礼金」制度を通じて現在提示している謝礼金の上限金額を5倍に引き上げると発表した。この取り組みは、職場におけるライセンスを受けていないソフトウェアの使用を告発することを促す目的で行われている。BSAが同社のプレスリリースで説明したところによれば、職場でのソフトウェアの無許可使用は15万ドルの罰金に相当し、2006年だけでも米国全体で70億ドル以上もの損害が発生しているという。
「ソフトウェアの著作権侵害の告発は正しい行為であり、BSAは、信頼のある情報を進んで提供してくれる人には喜んで報酬を支払うつもりだ」と、同団体の執行担当ディレクターを務めるJenny Blank氏は声明の中で述べた。BSAのメンバー企業には、Microsoft、Adobe Systems、Autodeskなどが含まれる。
そこで気になるのが、謝礼金に関する説明で使用されている「最高」という表現だ。この巧みな言い回しによって、肝心な点がはぐらかされてしまっている。すなわち、一体どのような種類の情報がその最高金額を受け取るに値するのか。
その答えは簡単に言うと、謝礼金はBSAの「独自の裁量」によるという。これは、同団体の掲載する条項で述べられている。また、それは申し立てられた著作権侵害に関連して会社が支払う和解金や損害賠償金の金銭的価値にも関係するという。
BSAでは、すでに2006年から「最高金額20万ドル」の謝礼金とうたっているが、同社のオンラインのプレスリリースアーカイブを見た限りでは、その金額に匹敵する情報が提供されている様子はない。実際、BSAは2006年7月に情報を提供した個人3人に対して合計で1万5500ドルを謝礼金として支払ったことが唯一の発表となっている。このときは、提供された情報を基に調査が行われ、和解につながったという。
BSAの広報担当が7月2日にCNET News.comに語ったところによると、BSAはおよそ倍額の報酬を支払ってきたという。しかし、報酬数を発表することはBSAの方針ではないと述べた。
一方で、このプログラムのおかげで、BSAは多くの企業と和解にいたり、2005年秋からおよそ2200万ドルを得たという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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