18カ月もの間ときには熱い議論も戦わせながら作業してきたFree Software Foundation(FSF)が米国時間6月29日、GNU General Public License(GPL)のバージョン3をリリースした。GNU GPLは、オープンソースプログラミングの動きの基本理念を明文化したライセンス体系のこと。
新ライセンスは、同団体を設立した会長のRichard Stallman氏がGPL 2をリリースして以来の16年間に起きたソフトウェア業界の変化に対応したものになっている。最大の変化の1つは、当時は一部の学問や法曹界の人間、哲学者に利用が限られていたオープンソース化の動きが、商用コンピューティングの世界で強大な影響力をもつようになった点だ。
IBMや、Linuxベンダー大手のRed HatとNovell、オープンソースデータベースのMySQLは、新ライセンスを歓迎している。
IBMのオープンシステム開発担当バイスプレジデントDan Frye氏は、「IBMはGPL 3に準拠したコードを提供していく。顧客には、われわれがこれで良いと考えていることを説明する。総意を得るプロセスのどれにも言えることだが、自分の希望がすべて受け入れられることなどあり得ない。しかし、今回は話を聞いてもらうことができた。このたびのライセンスは、商業的な意味でも将来性がある」と語っている。
新ライセンスの本文は、同団体のページに掲載されている。GNU Projectは、Stallman氏が、商用ソフトウェアにあるような制限を受けないUNIX似のOSを作る目的で、1984年にStallman氏が発表した。LinuxがMicrosoft WindowsやUNIXに対して優れた競争力を持つようになったのも、LinuxカーネルがGNU GPL 2に従ってソースコードが公開したためである。
このように非常に人気のあるライセンスであることから、新ライセンスを策定する過程では非常に多くの関係者から意見が提出された。そのため、FSFは、ドラフトを作成するために委員会を組織し、意見を反映させる努力を重ねてきた。
同団体の事務局長Peter Brown氏は声明で、「多くの団体にとって、今のフリーソフトウェアコミュニティーが直面している重要な問題に関する合意点を見つける機会となった」と述べた。最終バージョンは1カ月前にリリースされた最終ドラフトとほぼ同様の内容となっている。
今は、最も著名なGPLプロジェクトであるLinuxカーネルが新ライセンスに移行するかどうかが大きな問題となっている。Linuxカーネルは同オープンソースOSの心臓部であり、OSと同じLinuxという名称で言及されることも多い。Linuxカーネルの開発リーダーLinus Torvalds氏は、GPL 2の方が自分の好みであることを明らかにしている。
オープンソースのなかで最も幅広く利用されているライセンスがGPLだ。3万以上のプロジェクトがGPLを使っている。この数字は、Freshmeatサイトが追跡調査を行うオープンソースプロジェクトの約66%に相当する。
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