東京放送(TBS)は4月27日、楽天がTBS株を20%超まで買い増すという意向を示した件について、楽天に質問状を送ったことを明らかにした。TBSを持分法適用会社にすることで生じるメリットや、相乗効果を具体的に示すよう求めている。
楽天は4月19日時点でTBSの普通株式3777万900株(株券等保有割合ベースで19.86%)を保有している。さらに株を買い増す意向を示しており、TBSを持分法適用会社にするとともに、楽天代表取締役社長の三木谷浩史氏、取締役でカルチュア・コンビニエンス・クラブ社長の増田宗昭氏をTBSの役員として迎えるよう提案している。
これに対し、TBSは買収提案への評価、検討の準備のために情報が必要だとして、楽天に質問状を送った。概要は以下の通り。なお、この質問状に対して楽天は「内容を真摯に検討し、できる限り誠実に回答をしていく」とコメントしている。
- 楽天および楽天グループの概要
- 楽天グループの経営管理体制、内部統制システムの内容、および実効性(具体的には楽天が決算開示情報の訂正を繰り返した原因や再発防止措置の内容、楽天の事業が三木谷氏に大きく依存している状況下においてどのように適切な内部統制を確保し、ガバナンスの形骸化を防止するか、楽天に対する公正取引委員会の指摘に対する対応、楽天証券に対する金融庁の業務改善命令への対応など)
- 事業内容、経営状態および業績(有利子負債比率が高い楽天の持分法適用会社にTBSがなった場合に、TBSが受ける影響の見通しや、有利子負債削減の必要性に対する楽天の意見など)
- 過去の企業買収の経緯やその結果など
- 大規模買付行為の目的および方法
- 大規模買付行為の目的
- 取得目標としている「20%を若干超える程度」とは具体的に何%を想定しているか。中長期的に取得を目指しているTBS株式の持株比率はいくらか
- TBSを持分法適用会社とすることによる財務上その他のインパクトおよびメリッ
ト
- これまでの業務提携交渉において提案した提携案と異なる具体的かつ実現可能な業務提携案を今後の提示するか、その内容は何か、これまでにそのような提携案を提示しなかった理由、TBSが2006年提示した具体的な業務提携案に対して回答していない理由
- TBSとの業務提携を提案する上で想定している、楽天やTBSなどに生じるシナジーの具体的内容とその見積金額
- TBSとの業務提携によるシナジーの創出を主張している点に関して、TBSがすでに他社との業務提携によって行っている事業との競合がないか、またその事業に対するネガティブなインパクトがないか、回避策があればその説明
- これまでの業務提携交渉においてTBSが楽天からの提案に応じる意向を示していたにもかかわらず楽天が大規模買付行為の意向を通知した理由
- TBS株式取得に際して第三者との間における意思連絡があったか、その内容は何か
- 楽天グループ(三木谷氏や三木谷氏の資産管理会社などを含む)がTBS株式に関連する他の株主などと連絡、協議または合意をしたか(楽天が2005年8月以降にTBS株式を買い付けた際に村上ファンドなどの第三者との間で意思連絡をしたか、その具体的内容は何かなど)
- 大規模買付行為のための資金(調達方法およびその返済原資)
- 大規模買付行為後に意図しているTBSおよびTBSグループの経営方針
- TBSおよびTBSグループの経営方針、事業計画、財務計画、資金計画、投資計画、資本政策、配当政策および番組編成方針などに関する考え方
- TBSがすでに行っている提携先との共同事業以外に、楽天が具体的に想定しているTBSとの共同事業の有無およびその内容
- TBSグループおよびTBSの系列局が展開している既存ビジネスに与える悪影響の有無、および程度に関する検討をしているか、その結果はどうか
- TBSの放送局としての公共的使命についての考え方
- 放送局としてのTBSの中立性、公共性を維持するための具体的施策など
- 野球協約違反問題
- 楽天野球団を継続して保有し続ける意向の有無
- 楽天野球団および横浜球団の2つの球団の運営に実質的な影響力を持つことが野球協約上許容されないことに関する楽天としての意見、および野球協約に従った措置が求められた場合に2つの球団の取り扱いをどうするかについての意向など(2006年11月10日に楽天野球団が日本プロフェッショナル野球組織と社団法人日本野球機構に提出した誓約文にいう「楽天とTBS間の協議解決に至るまでの間」について、「協議解決」とは具体的にどんな場合となることを指すのか、「協議解決」後の両球団の取扱いについての考え方など)