Universal Music Group(UMG)は米国時間11月17日、膨大な数の音楽やビデオの著作権を侵害しているとして、ソーシャルネットワーキングサイト(SNS)のMySpace.comを提訴した。
フランスのメディアグループVivendiの傘下にあるUniversalは、ユーザーが音楽ビデオを不法にアップロードしているにも関わらず、Myspaceがこれを放置していると主張している。
11月17日にロサンゼルスの連邦地方裁判所に提出した文書でUniversalは、ユーザーが友人にビデオを送ったり他のサイトに転載したりできるよう、ビデオのフォーマット変換を行うことで、MySpaceが著作権侵害の幇(ほう)助もしていると訴えている。
CNET News.comが入手した文書のコピーによると、Universalの弁護士は「被告は著作権の侵害を野放しにし、これが容易に行われるようにした。(MySpaceは)MySpace Videoを、海賊版ビデオや海賊版音楽のバーチャル倉庫にした」としている。
Universalが発表を行ったのは、MySpaceが新しい著作権保護ツールを発表した数時間後であった。Universalの広報担当Peter Lofrumento氏によると、両社は著作権問題に関して数週間にわたって交渉してきたという。
MySpaceの広報担当は発表で「MySpaceは、メジャーレーベルからインディーズ活動に至るまでのアーティストのプロモーションのために、著作権を尊重しつつ他に例のないプラットフォームを提供している。われわれはクリエーターの権利を保護するために業界随一の努力を払っており、これについてUMGには密に報告してきた。UMGが無用な訴訟を起こしたのは残念なことだ」と述べた。
News Corp.傘下のMySpaceは数カ月前から、著作権侵害を防止するための取り組みを行ってきた。10月にGracenoteから「フィンガープリント技術」のライセンスを受け、違法な音楽ファイルのアップロードを防止しようとしてきた。11月17日に発表したフィルタリングシステムは、著作権者に指定された違法な音楽ファイルを自動的に削除するものだ。
Universalはどうやら、こうした努力に満足しなかったらしい。
Lofrumento氏は「(MySpaceを)いきなり提訴したわけではない。YouTubeに対してと同じく、交渉しようと試みた。どんな場合でも、提訴は最終手段だ」と述べた。
UniversalとMySpaceの交渉の経緯に詳しいある情報筋によると、両社の交渉は1週間前から途絶えており、提訴の前には、Universalの役員たちがラッパーのJay-Zの未公開ビデオをMySpaceのSNSで発見して憤慨する出来事があったという。
情報筋によれば、Universalが11月16日にNews Corp.の弁護団に提訴を行う旨を通知し、News Corp.は提訴の先送りを求めて最後の説得を試みたが、Universalの代理人が拒否したのだという。
前出の情報筋によると、Universalの役員たちは提訴に対し、MySpaceが著作権侵害防止技術の発表で先手を打とうとしたのだと考えているという。
情報筋は「Universalが提訴を行ったのと同じ日に、MySpaceがリリースしてもいないフィルタリング技術を発表したのを、偶然だと思うだろうか。私は偶然だとは思わない」という。
ウェブの世界で近頃大きく躍進した企業の一部は現在、厳しい立場に立たされている。MySpaceやYouTubeなどのサイトは、ホームビデオの投稿とオンラインでの共有によって多くの視聴者を惹きつけたが、その一方で、ノーチェックでのビデオ投稿が、著作権者の許諾なしにテレビ番組や映画、音楽ビデオなどの動画をアップロードするユーザーの出現を許してしまったのである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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