Microsoftは今週、買収の迅速化に重点を置く計画であることを明らかにした。目的は同社が提供する製品のセキュリティ機能を強化するためだという。
英国MicrosoftのセキュリティプロダクトマネジャーGopal Kutwaroo氏によると、同社が先頃Winternals SoftwareやVPN専門ベンダーのWhale Communicationsを買収したのも、セキュリティのあらゆる側面をカバーする包括的なサービスを構築するためであるという。
「われわれの戦略は明確だ。ピンポイントのソリューションを提供するつもりはない。われわれはむしろ、統合的なサービスを構築していきたいと考えている。コンピューティング環境全体に対応する製品やソリューションの提供を目指す」とKutwaroo氏は語っている。
Kutwaroo氏は、スピーディに企業を買収し、それを有機的成長に結びつけていくことが、Microsoftのセキュリティ戦略の鍵を握っていると述べる。
「われわれの(セキュリティ)機能強化戦略を実現する方法の1つとして、買収計画も組み込まれている。(Microsoftの既存の)技術にとって適切なパーツを取得し、組み入れていくようにしたい」と語っている。
MicrosoftがWhaleを買収したのは、同社が保有するIP通信セキュリティ技術を高く評価したからだ。Kutwaroo氏によると、Microsoftでは、WhaleのSSL(Secure Sockets Layer)暗号技術が「ISA Server 2006」を補完する役割を果たすと考えたという。
これまで「Microsoft Client Protection」と呼ばれていたMicrosoftの法人向けセキュリティ製品は、6月に「Forefront」へと改称された。
「われわれは、クライアントとサーバの両方の環境を保護するための縦深防御戦略をとりたいと考えている。(2005年2月の)Sybari Softwareの買収によってAntigen(電子メールセキュリティ製品)の提供が可能となったが、これに対してFrontBridgeの技術ではメールのアーカイブとネットワーク内でのコンテンツフィルタリングの両機能を実現する」とKutwaroo氏は語っている。
Microsoftのセキュリティ製品の多くは、2007年発売予定のWindows Vistaに統合されることになる。
「Vistaでは可能な限り高いセキュリティを確保する。Vistaが多くのセキュリティ不具合を含んでしまうような事態は避けたい。もし不具合があったとしても、Microsoftの可能な限り素早く対処する」とKutwaroo氏は述べている。
CanalysのセキュリティアナリストAndy Buss氏は、Microsoftに関しては、Forefrontでビジネス市場に与える影響より、「Windows Live OneCare」でコンシューマー市場に与える影響の方が大きくなるだろうと予測する。
「Microsoftはエンタープライズセキュリティ市場では実績がない。大企業はシステムの導入にあたっては慎重になるため、法人向け製品の方が浸透に時間がかかる」とBuss氏は述べる。
(英国オフィスに務める)Kutwaroo氏は、Microsoftの買収戦略は米国レドモンドにある本社が管理しているとしたうえで、同社がセキュリティ関連企業をまだほかにも買収し、市場拡大に向けた提携も検討する可能性があることを示唆した。
「Microsoftでは、成長に対する強い関心がある。Microsoftは、パートナーの候補企業について、あらゆる側面から検討を重ねている。これまでさまざまな分野の企業を買収してきたが、これによりクライアントを保護するための最善のソリューションが開発されるだろう」とKutwaroo氏は述べている。
GartnerのフェローであるDavid Mitchell-Smith氏は、Microsoftでは大規模な企業ではなく、「Web 2.0関連の小規模な企業」に注目していくだろうとの予測を示した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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