米司法省は、Microsoftによる独占の禁止に関する訴訟で和解に盛り込まれた競合他社などへの技術文書の公開が遅れているとして、和解条件となったライセンス提供の期間を2年延長することを求めている。
司法省は米国時間5月12日に発表した声明の中で、Microsoftに対する独占禁止訴訟における最終決定事項の一部として盛り込まれた、2007年の秋までの通信プロトコルのライセンスプログラムを、2009年まで延長することを求めている。Microsoftは、「Windows」の通信プロトコルを有料で利用可能にする同ライセンスプログラムの延長に同意しているという。
司法省は、履行状況を監視するColleen Kollar-Kotelly米連邦地裁判事のもとへ定期的に提出する報告の一環として、今回の要請を行った。
米司法省反トラスト局のJ. Bruce McDonald司法次官補代理は、声明の中で次のように述べている。「司法省は、最終決定に盛り込まれた事項を完全かつ強力に実行させるよう努力している。Microsoftのライセンス提供期間を延長することにより、通信プロトコルのライセンス取得に関心を持つ企業が、裁判所の最終決定で定められた期間全体にわたって、完全で正確な技術文書を入手するという利益を確実に得られるようになる」
司法省とKollar-Kotelly判事はこれまで、ライセンスプログラムでのMicrosoftによる技術文書作成に関して懸念を表明してきた。Microsoftは司法当局からの圧力を受け、ライセンスプログラムの改訂を数回行っている。しかし、「技術文書作成の改善の取り組みで、現行の手法を続行するよりも大幅に『やり直す』ほうが、有効かつ能率的だと(Microsoftは)判断した」と、司法省は述べている。
かつては司法省と複数の州検事総長が、Windowsによる独占を阻止するため、Microsoftの分割を求めたこともあった。連邦地方裁判所のThomas Penfield Jackson判事(当時)は同社に分割を命じたが、その後Microsoft側は命令を不服として上訴し、分割命令は棄却された。最終的にMicrosoftは司法省と和解し、通信プロトコルのライセンスプログラムを含む、はるかに穏便な要求事項を受け入れた。
最近では、欧州連合(EU)がMicrosoftに独占禁止法に違反しているとの判断を示し、通信技術を競合他社に公開することを命じた。プログラム延長という新たな取り組みの目標は、2つのプログラムに「できるだけ一貫性を」持たせることだと、米司法省は説明している。
Kollar-Kotelly判事は2月の公聴会において、通信プロトコルライセンス供与の取り組みが遅れているとしてMicrosoftを非難した。司法省は4月の中間報告の中で、Microsoftが提出した71件の短期的問題に対する58の修正案のうち、問題となる懸案を完全に解決できたのは、5つの案だけだったとしている。非難に対してMicrosoft側は、問題にもっと適切に対処するため追加のエンジニアを配置したと弁解した。
司法省は5月12日に提出した「共同状況報告書」の中で、Microsoftによる最近の37の回答のうち、3分の2は解決できそうな問題だと述べている。「傾向としては有望で、Microsoftの最近の取り組みは明らかに向上している」(同報告書)
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