米連邦判事が、暴力的なビデオゲームの販売を禁じたミシガン州法に対し違憲判決を下した。米国ではこれまでも、言論の自由に関する同様の法律に対する違憲判決が相次いでいた。
米地裁のGeorge Caram Steeh判事は米国時間3月31日、「未成年者に悪影響を与える」ような暴力的なビデオゲームの販売を違法とするミシガン州法に対する違憲判決を下した。同判事は判決の理由として、その種のエンターテインメントは合衆国憲法修正第1条の表現の自由を定めた条項で保護されているためと指摘した。
Steeh判事は判決の中で、「ビデオゲームは、合衆国憲法修正第1条で保護されている創造的表現の一種である」とし、さらに「ビデオゲームは、映画やテレビ番組と同様の独創的な芸術作品、グラフィックス、音楽、ストーリー、キャラクターを包含している。そして、映画とテレビ番組はどちらも、保護された言論の自由とみなされている」と語った。
今回の判決(PDFファイル)は、暴力的ゲームの販売禁止に向けた運動を各州で開始した政治家や反ゲーム活動家たちにとって新たな挫折となった。というのも、ここ2、3年の間に、第7、第8巡回控訴裁判所およびワシントン、イリノイ、カリフォルニアの各州の連邦判事が相次いで、そのような法律に対する違憲判決を下しているからだ。
「(暴力的ゲームの反対派は)敗訴し続けており、彼らはほとんどの場合控訴すらしない。このような状況が続く限り、事態に変化はないだろう」と語るのはJenner and Block法律事務所のパートナーであるPaul Smith氏だ。同氏は、ミシガン州法に関する裁判で、Entertainment Software AssociationとVideo Software Dealers Associationの2つの団体の代理人を務めている。
司法が(暴力的ビデオゲームの販売を禁じる法律に対して)懐疑的である1つの理由として、ビデオゲームの中の擬似的暴力と現実の暴力行為との関連性が学術研究で証明されていない点が挙げられる(最高裁の判例では、暴力的ゲームの販売を禁じる法律を合憲とするには、擬似的暴力と「切迫した違法行為」との間に関連性があることが必要とされている)。
アイオア州立大学の心理学教授Craig Anderson氏はミシガン州に代わり、擬似的暴力は、それに繰り返しさらされることにより「自動化」する可能性があると証言した。
しかしSteeh判事は、17ページに及ぶ意見書の中で次のように述べている。「Anderson教授はこのように主張しているが、同教授の研究結果は、暴力的ビデオゲームと積極的行為との間の関連性の存在を全く証明していない。同教授の試験では、ある人物が(暴力的な)ビデオゲームをプレイしたことにより、攻撃的な気分になったり、あるいは平均的水準の暴力がいくらかエスカレートしたのではなく、実際に暴力行為に及んだことを証明できていない」
しかし、ビデオゲームを標的としたより多くの法の制定を支持する政治家らは、より説得力のある研究結果を出すと彼らが期待する研究者たちに、多額の研究資金を提供しようと努めてきた。3月に、民主党上院議員のJoseph Lieberman氏(コネチカット州選出)、Hillary Clinton氏(ニューヨーク州選出)、Dick Durbin氏(イリノイ州選出)の3人は、ある上院委員会を説得し、「電子メディアの使用の影響」と題した広範囲の研究を承認させた。
2005年には、Rockstar Gamesの「Grand Theft Auto: San Andreas」に組み込まれている露骨な性表現が話題になったが、このニュースも政治家らが(ビデオゲームに対して)不満を述べるきっかけとなった(Take-Two Interactive の子会社であるRockstarは、女性とのセックスのシミュレーションを可能にする「Hot Coffee」と呼ばれる改造は、「大幅な技術的改造や(ゲームの)リバースエンジニアリング」を行ったハッカーたちの仕業だと主張した)。
米下院は2005年7月に、Grand Theft Autoに関する調査を求める決議案を355対21で可決した。また上院にも同様の案が提出された。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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