インターネットの支配権を巡る勢力争いが勃発しており、これを話し合う国際会議が今週開かれる。しかし、一部の人権活動家はその多難な前途を憂慮している。
国連の主催により開催される世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society)を目前に控えるチュニジアのチュニスにおいて政府当局と民間人が衝突したことや、少なくとも1名のジャーナリストが暴行を受けたことを、複数の人権監視団体が明らかにした。
チュニジアは検閲の厳しさで知られており、国際会議の開催地にはふさわしくないと同団体は述べている。チュニジア政府は、虚偽の情報を流した罪でジャーナリストやブログ作者を投獄することなどで、国際社会から不評を買っている。
フランスに拠点を置く監視団体Reporters Without Bordersによれば、現在、Union of Tunisian Journalistsの代表者を含むチュニジア国内の指導者7名が、自由の拡大を求めてハンガーストライキを決行しているという。
また、Human Rights Watchは現地時間14日、複数の国際的な人権団体で組織されるグループが、国連のサミットのテーマを独自に討議することを、チュニジア当局から禁じられたことを発表している。
これらの団体は「Citizens' Summit」を組織して、世界の有力国が議論するのと同じ問題を「市民団体および公衆の観点」から検討するイベントを開く予定だった。
同イベントを告知するウェブサイトには、プライバシーやデータセキュリティ、インターネットガバナンス、メディアの多様性、表現の自由といったテーマが議題として掲載されていた。
Human Rights Watchは声明を発表し、10名の警官が「サミットの開催場所を暴力に訴えて人々から奪還した。警官らは身元を明らかにすることも、理由を示すこともせずに、参加者を強制的に退去させた」と述べている。
チュニジア当局からは、この件に関するコメントを得られていない。
さらに、Reporters Without Bordersは現地時間11日夜、チュニスの大使館街にあるホテルに宿泊していたフランス人ジャーナリストが、正体不明の4人組に殴られて刺され、強盗に遭ったと発表した。
同団体によれば、被害者はFrench Daily Liberationの特派員で、人権問題を取材していたChristophe Boltanskiだという。Boltanskiはひどく動揺しているものの軽傷で、サミットが始まる現地時間16日の前にはパリへ帰還する予定だ。
同団体のワシントンオフィスに勤めるLucie MorillonはCNET News.comに対し、「サミットの開催期間中に一体何が起こるのか、人々は戦々恐々としている。特に、現地で自由な取材活動を行うジャーナリストの身が懸念される」と語った。
今回の事件の直前には、リビア、エジプト、中国の各政府が政治的な問題を論じたブロガーを取り締まったというニュースが報じられていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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