Intelが、シリコンからレーザーを取り出すことに成功した。
同社は、連続でラマンレーザーを発生可能な装置を8つ組み込んだチップを開発した。このチップは、今日レーザー装置の製造に要求されるような高価な素材や製造プロセスではなく、ごく標準的な半導体製造プロセスを用いて作られている。このレーザー装置では、連続した光の流れを発生させ、それをデータを表現する一連のインパルスの流れへと変換(もしくは細かく裁断)する。安価な光部品は高速コンピュータだけでなく、より手ごろな価格でより精密な動作を行う医療機器へも応用できる可能性がある。
半導体レーザーが市場投入されるまでに少なくともあと4〜5年はかかるが、このチップは業界の関心を集め、熱心な支持者を生むはずだ。半導体メーカーはシリコン(半導体)を好むが、シリコンは一般に光データ転送とは相性が悪い。
「これは科学分野における画期的な出来事だが、同時に心理的なブレークスルーでもある。なぜなら、だれもが実現できるとは考えなかったからだ」と、Intelの光通信技術研究所ディレクター、Mario Panicciaは言う。「(一般的な環境では)シリコンは、光通信に適した素材ではない」と同氏は付け加えた。
このレーザーは、コンピュータやプロセッサ、さらには同一チップ上でのコンポーネント同士の接続に光を用いるという、Intelの計画の最新の成果だ。同社は昨年シリコンモジュレータ(変調器)を発表したが、これは今日の最新モジュレータと同じくらい高速で動作するようになる。
「Intelでは、2000ドルのモジュレータをシリコン片上に搭載し、必要なパーツをすべて揃え、それを1つのパッケージにまとめる、といったことを考えている」と、GartnerのアナリストMartin Reynoldsは述べている。「明らかに、その市場が存在する」(Reynolds)
これはまた、1と0の計算だけでなく、血液検査や機械作業などを行う半導体プロセッサ製造に、Intelの工場を利用しようとする、Intelのより大きな計画の一環だ。
光でのデータ転送は、とてつもないメリットをもたらす。消費電力や放熱がプロセッサ設計にとって大きな問題となるなか、光ファイバを通して運ばれる光は、銅線上で運搬される電子よりも、はるかに少ない放熱で済む。また光ファイバは大量のデータトラフィックを取り扱えることから、ケーブルやコンピュータ内部の部品が削減可能となる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」