松下電器産業は1月9日、2004年度から2006年度までの中期経営「躍進21計画」を発表した。2006年度に営業利益率5%以上を達成することを目標とする。また、松下電工の子会社化に伴い、両社の共通戦略を設定するための場として「21世紀コラボレーション委員会」を設置することも明らかにされた。
松下電器は2000年11月、2001年度から2003年度までの3カ年経営計画「創生21計画」を発表し、2003年度に連結営業利益率5%の実現を目指すとしていた。しかし2003年度中間期における連結営業利益率はわずか2.2%。
この点について松下電器産業代表取締役社長の中村邦夫氏は、「20世紀型の生産性の低い企業構造が最大の原因だ。構造改革によってこの体質を変えるつもりだったが、創生21計画で掲げた、連結売上高約9兆円という数値目標だけが一人歩きしてしまった」と説明する。「(営業利益率5%というのは)実現性の低い目標だった」(中村氏)
特に問題として指摘されたのが、間接部門の生産性の低さだ。中村氏はT化を進めることで効率化を図ると話す。このため、松下電器では今後3年間で約1200億円のIT投資を行う。内訳は未定だが、世界規模でのSCMの導入などが検討されているという。
半導体事業に約1300億円を投資
松下電器産業代表取締役社長の中村邦夫氏 | |
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2004年度からの3年間ではさらなる構造改革を進めるほか、市場占有率の向上を目指した「V商品」と呼ぶ戦略商品に注力し、商品力を高めることで収益に結びつける考えだ。中でも成長の著しいデジタルカメラについては、DVDレコーダー「DIGA」、薄型テレビ「VIERA」に注ぐ第3の事業として育てる方針。独自の手ぶれ補正技術などを武器に、世界シェア10%を狙う。
プラズマディスプレイ事業については、2004年4月に大阪の茨城第2工場を稼動させる。この工場は月産8万台の能力を持つ。2005年度には年間150万台のパネルを生産できる体制を整えるという。
また、デジタル製品の付加価値はシステムLSIに集約されるという考えから、2005年までの2年間で約1300億円を半導体事業に投資する。具体的には、富山県の魚津工場にデジタル家電用LSIを生産する新棟を建設する。300ミリウエハ、90nmプロセスに対応しており、月産7500枚の能力をもつ。生産開始は2005年末の予定だ。
海外事業については、V商品を世界同時に発売し、積極的にマーケティングを行うことで一気に市場を立ち上げる「垂直立ち上げ」という手法を引き続き推進していく。また、中国での生産量を大幅に拡大する。2002年度における中国国内の生産高は4500億円、2003年度は約5800億円(見込み)だが、これを2005年度には1兆円にするという。
研究開発に関しては、選択と集中を進め、投資額を売上高比率の7%以下に抑える方針だ。ただし、研究開発費が下がる要因としては、今まで多額の投資を行ってきた携帯電話やテレビなどのハードウェアやソフトウェアが「刈り取りの時期に入ってきた」(松下電器産業 常務取締役 川上徹也氏)ことも要因に挙げられるとしている。
「2010年には営業利益率を10%に」
これらの施策により、2006年度には売上高8兆2000億円、営業利益4100億円を目指すという(いずれも松下電工は含まない)。さらに中村氏は、個人的な考えとしながら、「2010年には営業利益率10%を達成したい」と意気込みを語った。
松下電器では同日、松下電工と共通の経営理念や経営戦略を設定するための場として、共同で21世紀コラボレーション委員会を設置することも発表した。委員会には松下電器から約90名、松下電工からは約70名が参加するという。松下電器 代表取締役副社長の戸田一雄氏が委員長、松下電工 代表取締役副社長 経営執行役の菊地紘氏が副委員長に就任する。参加者は若手で構成され、あるべき姿について議論したうえで3月末までに答申を提出するとしている。
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