ソフトバンクによるボーダフォン日本法人の買収が決まった3月17日、この発表を受けて米国信用格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスは、ソフトバンクの無担保長期債務格付けおよび発行体格付けを引き上げる方向で見直すと発表した。
この無担保長期債務格付けおよび発行体格付けは現在「Ba3」(投機的要素をもち、相当の信用リスクがあると判断される債務に対する格付けの下位に位置づけられている)となっている。
ムーディーズによれば、「ソフトバンク・グループは広範な通信サービスを提供する事業戦略を遂行してきており、今回の買収でソフトバンクが競争力ある総合通信事業者となり、同社の通信事業全体にプラスに作用する」と考えている。
買収総額は1兆7500億円で、そのうちソフトバンクは2000億円を負担する。ムーディーズは、この金額について「買収規模は大きいが、それによってソフトバンク・グループの財務レバレッジが大きく変化することはない」と見ている。
さらに、格付けの見直しについては、「ボーダフォン日本法人の買収後の事業戦略、統合の事業上の効果、ボーダフォン日本法人の事業および財務に対するソフトバンク・グループの管理能力を検討する」とした。このほか、買収に伴う統合上の課題や、買収が中期的にソフトバンクの財務の柔軟性、資本構造に与える影響も考慮するという。
そのうえで、「競争力のある総合通信事業者としてのソフトバンクの役割に対する全般的なシナジー効果が、財務負担を緩和するのに不十分であると判断された場合には、格付けが据え置かれることになろう」としている。
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