英携帯電話大手のVodafone Groupが、ソフトバンクとの間で日本法人の売却交渉を進めている件で、米投資会社のCerberus Capital ManagementとProvidence Equity Partnersが新たに買収を提案する予定だという。買収金額の提示額は150億ドル(直近レートでの邦貨換算で約1兆8000億円)になると見られている。New York Times紙などが16日に報じた。
一部の日本のメディアで「日本法人に打診があった」との報道が見られた点について、ボーダフォン日本法人では「ノーコメント」としただけだった。
Vodafoneは3月4日に、日本法人であるボーダフォン日本法人の株式の過半数をソフトバンクに売却することで協議していることを認めていた。Vodafoneは現在世界戦略の見直しを進めており、成長率の高いインドなどの発展途上国に経営資源を集中させる方針を打ち出している。日本市場については、英国の通信方式であるGSMとは異なるW-CDMA方式を利用していることもあり、Vodafoneの強みである規模の経済効果が出せないといった課題を抱えていた。
一方、ソフトバンクはADSLに次ぐ新たな成長戦略として、携帯電話事業への参入を表明している。2005年には総務省から認可を受け、現在は2007年4月の事業開始に向けて実験を進めている段階だ。しかし、当初の割り当て周波数が5MHz幅(250万加入分)と少ないこと、2007年の段階ではサービスがデータ通信のみで、音声端末を使ったサービスは2008年以降となることから、既存事業者に対抗するには自社だけでは難しいと判断したもようだ。
Cerberusは日本で、あおぞら銀行や国際興業など大型の企業再生案件を手がけた実績がある。
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