[更新:12時50分] Googleが、米国時間1月31日に行った決算発表のなかで、2004年の株式公開以来初めて利益が予想を下回ったことを明らかにしたことから、同社の株価は時間外取引で下落し、これまで続いていた同社と株式市場との蜜月関係がわずかに水を差された格好になった。
同社の第4四半期決算は、売上高が前年同期比86%増の19億2000万ドルと予想通りの結果になったものの、利益のほうはアナリストの予想を下回った。
提携先への支払手数料であるトラフィック獲得コストを除いた売上高は12億9000万ドルだった。
同四半期の1株当たり利益は1ドル22セントで、特別科目を除いた場合は1株あたり1ドル54セントと、1年前の1株あたり71セントから大きく増加したが、アナリストの予想平均値1ドル76セント(特別科目を除いた場合)には届かなかった。
Googleの予想では1株当たり利益は1ドル78セントだったが、予想よりも高い税率が課された結果、実際には1株あたり1ドル54セントになったと、同社CFOのGeorge Reyesはアナリストとの電話会議のなかで説明した。
Googleの株価はここ1年で倍以上値上がりし、前回の決算報告時と比べても40%以上上昇している。同日の終値は432ドル66セントとなったことから、同社の時価総額は約1270億ドルとなっている。
しかし、Googleの株価はこの日の時間外取引で最大で19%下落しており、時価総額の減少額は一時240億ドル以上に上った。ただし、その後株価はいくぶん回復し、午後5時38分(米太平洋標準時)現在、381ドル50セント(約12%安)で取り引きされている。
利益がアナリストの予想に届かなかったにもかかわらず、Googleの幹部らはこの決算内容に満足しているとし、特に季節的な要因によるトラフィックおよび広告収入の増加が売上を押し上げた点を指摘した。同社CEOのEric Schmidtは、同社が今後もインターネット広告ならびに海外市場に重点を置いて成長の機会を見いだしていくと述べた。
「最も大切なのは、2006年には技術革新のペースがさらに速まるとわれわれが考えていることだ。われわれは引き続き、最も才能豊かな人材をGoogleに集め、そして技術革新に関する独自のモデルを使いながら、驚くべき新製品を実現していく」とSchmidtは電話会議のなかで語った。「われわれはビジネスを長期的な視点で捉えており、これからも長期的な投資といくつかの非常に大きな掛けをしていく」(Schmidt)
Googleでは、検索結果のページやパートナーのウェブサイトに表示される広告からの収入が売上の大半を占めている。内訳は、自社サイト上での広告収入が57%で、提携サイトでの広告収入が42%だった。
2005年度の業績については、売上高が前年比92%増の61億4000万ドルとなり、利益は前年の3億9900万ドルから14億6500万ドルに増加した
Googleの従業員数(正社員のみ)は、2004年末の3021人から大幅に増加し、2005年末には5680人となった。
Googleは今後3年間で、環境や社会、経済に関して進歩的な取り組みを行う営利企業に1億7500万ドルを投資していく見通しだとReyesは述べた。
Googleがハードウェアやデスクトップ用ソフトウェアへの参入を計画しているとの噂に関する質問がアナリストから出されると、Schmidtは同社が引き続きハードウェアおよびソフトウェア分野のパートナー企業との協力を進めるものの、自社ではマルチプラットフォームのインターネット検索サービス提供に力を入れていくと答えた。
「Googleがそういった市場に参入したり、Google PCを出したりするとの噂が本当に数多く出回っている。しかし私にとって、それらのほとんどは過去のものであり、次のチャンスではない。私の目から見ると、こうしたものはとても興味深いビジネスチャンスとは思えない」(Schmidt)。「これらの分野にはすでに多くの企業が参入している。そのなかにはわれわれと提携してるところも多い。そうした企業を相手に競争するよりも、かれらのパートナーになるほうがはるかに好ましい」(Schmidt)
Googel株式の値下がりが今後も続くかどうかについて、アナリストらはさまざまな見解を示している。「この値下がりが明日も続くと見ている」というのはLegg Mason Wood WalkerのScott Devitt。「明日のインターネット関連株は見物だ。その点は保証できる」(Devitt)
同氏は、Yahooによる第4四半期決算発表の翌日に、Google株式の評価を「待ち」から「売り」に引き下げた。Yahooはこの時、前年同期を上回る売上を発表しが、それがアナリストの予想に達していなかったため、同社の株価は時間外取引で12%以上下落していた。
一方、Piper JaffrayのSafa Rashtchyは、Googleの株価下落を目にした人々が買い時だと考える可能性があるとした。「Googleのビジネスは非常に好調だ。成長率は下がっておらず、いまだに市場全体よりも急速な伸びを示している。私は第4四半期の決算内容が期待を裏切るものだったとは思わない。Googleの株式が売られているのは、それが勢いに応じて大きく上下する株であるとの事実を反映したものだと思う」(Rashtchy)
Googleの検索分野における市場シェアは引き続き増加している。Nielsen/NetRatingsによると、昨年6月に45.7%だった同社のシェアは11月には46.3%に達したという(同社は11月に24億件の検索を処理した)。また、同四半期には検索広告が12%増加し、12月には合わせて165億件に達した。
Googleはこれまで数四半期連続でアナリストの予想を上回る結果を出してきていた。前四半期には、同社の売上高が前年比でほぼ倍増し、利益も1株あたり1ドル32セントに増加したことから、株価は12%上昇し、複数のアナリストが2006年の目標価格を引き上げる結果となっていた。
同社は先月、米司法省が検索大手各社に召喚状を出し、ユーザーの活動に関するデータの提出を求めた際に、競合するYahoo、Microsoft、America Onlineの各社が応じたこの要請を突っぱねたことで称賛を浴びていた。一方、中国向けのサービスに検閲を導入したことについては、同社の判断に各方面から非難の声が上がっていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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