日本AMDは6月30日、インテル日本法人の独占禁止法違反行為によって損害を受けたとして、東京高等裁判所および東京地方裁判所に提訴したと発表した。請求額は5500万ドル(日本円で約60億円)。米AMDは米国でも28日に独占禁止法違反でIntelを訴えており、日米同時に訴訟を起こしたことになる。
この訴訟は3月8日に公正取引委員会が行った排除勧告を受けて行われたものだ。独占禁止法に関する訴訟は東京高等裁判所で行われることから、日本AMDはまず東京高等裁判所において、公取委が認めた独占禁止法違反行為によって日本AMDが受けた損害額5000万ドル(日本円で約55億円)を請求している。
さらに日本AMDは、公取委の勧告に含まれていない営業妨害などの行為があるとして、東京地方裁判所に対しても訴訟を提起した。ここでは東京高等裁判所に提訴した請求額5000万ドルも含めて、5500万ドル(日本円で約60億円)の損害賠償を求めている。
なお、インテルは公取委が主張する不法行為の内容を認めてないものの、勧告には応諾しており、公取委と争わない姿勢を見せていた。
インテルの不法行為を訴えた日本AMD取締役の吉沢俊介氏 |
日本AMD取締役の吉沢俊介氏は「インテルは世界的規模での独占的な地位を乱用して競争を阻害している」と指摘。訴訟を起こすことでインテルの行為を阻止し、自由な競争環境を取り戻すことが狙いだとした。「例えばAMD64がなければ、いまでもIA64しか市場には存在しなかった。自由な競争によって、ユーザーに選択肢を提供することが重要だ」(吉沢氏)
また、日本AMDの弁護団の1人である柳田野村法律事務所の弁護士、柳田幸男氏は 「日本の法律では、公正取引委員会の勧告を応諾したインテルに制裁金は科されない。つまり、不法行為で得た利益が維持されることになる。この状況を打破するには日本AMDが損害賠償を請求し、インテルが独占的地位を乱用した行為を白日の下にさらす必要がある」と訴えた。
日本AMDが訴状の中で主張しているインテルの不法行為の概要は以下の通り。
【排除行為】
【営業妨害行為】
これらの不法行為により、AMDでは国内シェアを大きく落とし、多大な損害を被ったと主張する。同社の販売数量シェアは2002年には約22.2%だったが、2004年には約10.4%に減少したとのことだ。
今回の提訴に対してインテル広報部では「詳細に関しては把握しておらず、現時点でコメントできない」としている。なお、米Intel CEOのPaul Otellini氏は29日、米AMDからの提訴に対して、「Intelは自社が活動する国々の法律を常に尊重してきた。消費者に最高のものを提供するため、われわれは積極的かつ公正な態度で他社と競い合っており、今後もこうした態度を変えることはない」とコメントしている。
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