「現在の状況は期待していた状況では決してない。社内の意志決定体制を変革し、顧客中心の企業に変えていく」――ボーダフォンは4月18日、4月1日付けで代表取締役社長に就任したウィリアム・ティー・モロー氏の社長就任会見を都内で開催した。
モロー氏は2001年に日本テレコム取締役に就任し、2001年12月から2003年12月まで同社の代表取締役社長を務めた人物。前社長の津田志郎氏は2004年12月にNTTドコモ子会社のドコモエンジニアリングから移籍したものの、わずか4カ月で代表執行役会長に就任するという異例の人事となっている。
モロー氏は会長の津田氏と二人三脚で経営を行うとしており、英Vodafoneグループとの折衝は主にモロー氏が、国内の事業は津田氏が担当することになるようだ。ただし、役割分担については特に決めていないという。「このミッションは誰の担当だという明確な線はなく、2人で相談しながら方向性を決めていく」(津田氏)
ボーダフォンは現在、苦しい状況に置かれている。電気通信事業者協会(TCA)の調査によれば、3月のボーダフォンの契約者数は7400件の純減となっている。これで同社は1月から3カ月連続で契約者数が減少していることになる。
モロー氏が打開策として掲げたのは主に3つ。(1)社内体制の変更、(2)新料金体系、(3)日本市場向けの端末開発だ。
まず、社内の体制については「意志決定のスピードアップを図り、顧客に近い人間に権限を与えていく」という。具体的な体制については明らかにしなかったが、今後90日以内に発表するとした。「ウェブサイト、代理店、コールセンター、請求書など、顧客がすべての接点においてやりとりがしやすい企業だと思うように変えていきたい」(モロー氏)
代表執行役会長の津田志郎氏(左)と代表執行役社長のウィリアム・ティー・モロー氏(右)
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新料金体系については、「音声通話とパケットの両方に恩恵をもたらすだろう」とモロー氏は言う。パケット料金の新体系については数日中に明らかにされる見込みで、音声についても「夏から秋にかけて発表できるだろう」とした。
新端末については、より日本のユーザーにとって魅力的な端末を投入していくと話す。同社は2004年12月から世界で利用できる第3世代携帯電話(3G)を販売しているが、大ヒットと言えるほどの端末は登場していない。「日本ユーザーの厳しい要求に応えられる端末がなかった」(モロー氏)。この3G端末は、世界で利用できるように設計された世界標準プラットフォームを搭載していた。しかし、日本のユーザーからみればインターフェースがこれまでの端末と違っており、使いにくいという声があがっていたのだ。
モロー氏は「世界共通端末は日本のニーズに応えられるよう、もっと質の高いものを提供する必要がある」と指摘し、今後は日本のニーズに応えられる次世代の世界共通端末を開発すると話す。また、第2世代携帯電話の新端末や既存端末の新色、非接触ICの「FeliCa」を搭載した端末も展開していく考えを示した。
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