Hewlett-Packard(HP)のCarly Fiorinaが米国時間9日、同社の会長兼最高経営責任者(CEO)を辞任した。HPが新しい時代に向けた事業の見直しを進めるなかで、同氏は苦境に立たされていた。
同社によると、今回の人事はHP取締役会がFiorinaの解任に関する最終判断を下した8日付けになるという。同社最高財務責任者(CFO)のRobert Waymanが暫定CEOに指名され、取締役にも就任した。会長には1998年以来取締役を務めてきたPatricia Dunnが任命された。
Fiorinaの退職金は、ストックオプションや給与および賞与に基づいて計算される現金を含め、総額2110万ドルになると、HP広報担当のMonica Sarkarは述べた。
同社によると、今回の解任は戦略をめぐる取締役会との意見の相違が原因だという。
「意見の相違はCarlyがHPの変革を進めるなかで表面化してきた。彼女は特筆すべきやり方でHPを変革し、またCompaqとの合併でも卓越した手腕を発揮した。しかし、今後のことを考えると、自ら戦略の遂行に関わるタイプのCEOが必要になる、というのがわれわれの考えだ」とDunnは電話会議のなかで語った。
Dunnによると、同社取締役会はFiorinaの業績について数週間前から議論を行っており、以前から相談役を務めているLarry Sonsiniをはじめとする社外顧問らにも、取締役会の判断について意見を求めたという。Dunnは、Fiorinaの解任は複合的な要因によるものだったことも付け加えた。
Fiorinaは、同社の取締役会との衝突を認めている。
「HPの戦略遂行をめぐって取締役会と私の間に意見の相違があったことは遺憾だが、取締役会の決定を尊重する」と同氏は声明のなかで述べた。
HPは2月16日に第1四半期の決算発表を行う予定だが、同社は9日に予想通りの決算になると述べた。
FiorinaがLucent Technologiesを離れ、HPのCEOに就任したのは1999年のことだった。HPは現在、財務面で安定した成長を続けることができずに苦しんでおり、なかでもエンタープライズ部門の問題は深刻だ。同社は先月組織を再編し、PC部門をプリンタ部門に統合した。
Fiorinaは、HPを分割して、法人向けと個人向けの新会社をつくるよう求める呼びかけに抵抗していた。
またFiorinaは、同氏が指揮をとったCompaq Computerとの合併についても非難を浴びていた。アナリストによると、HPはCompaq合併後に、事業統合によるコスト削減を何とか達成したものの、いくつかの分野では市場シェアを失ってしまったという。
同社はわずか2週間前に、Fiorinaの日常業務にかかわる責任を他の幹部に割り当てる計画を進めているとの報道を否定したばかりだった。
HP共同創業者の子息で、かつて同社の取締役を務めていたこともあるWalter Hewlettは、今回の決定に驚いていると電話インタビューのなかで語っている。
「Fiorinaを非難する声があるのは知っていたが、辞任というのは予想外だ」とHewlettは述べた。同氏はかつてHPによるCompaq買収に異議を唱え、株主の委任状争奪戦を起こしたものの、結局成功しなかったという過去がある。「取締役会とはとてもうまくいっていると言う彼女の言葉を私は信じていた」(Hewlett)
同氏はまた、2002年に完了したCompaq買収後の戦略遂行に関して、HPの取締役会がFiorinaにもっと時間を与えるだろうと考えていたと言う。「HPの取締役会がこれほど早く行動を起こすとは予想していなかった」(Hewlett)この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」