IBMが進める同社PC事業のLenovo Groupへの売却計画が、米国の国家安全保障に関わる問題に発展するかもしれない。
ニュースサービスのBloombergが米国時間23日に報じたところによると、米国以外の企業による国内企業買収を審査する政府委員会「Committee on Foreign Investments in the United States」は、中国の諜報員がIBMの施設を隠れ蓑にして産業スパイ活動を行うおそれがあるとの懸念を示しているという。この報道では情報源の身元は明らかにされていない。同委員会には、法務省および財務省を含む11の政府機関代表者が参加している。
この報道によれば、IBMとLenovoは、財務省が議長を務める同委員会と交渉を進めているところだという。IBM-Lenovoの契約が正式な調査ならびにブッシュ大統領による承認を回避するためには、同委員会の承認が必要だ。
IBMは12月に、北京に拠点を置くLenovoに、自社のPC事業を17億500万ドルで売却すると発表した。
IBM関係者からの電子メールでは、同社は認可に関与するすべての政府機関と協力して、問題解決にあたっているという。
「IBMは、必要な法的書類をすべて委員会に提出した。わが社はこの売却に関する審査について、あらゆる政府機関と全面的に協力している」とIBM広報担当のEd Barbiniは電子メールに記している。
米公正取引委員会(FTC)は今月初め、IBMによるLenovoへのPC事業売却が市場に与える影響を考慮した上で、両社の取引には異議を差し挟まないとの意向を示した。
FTCはLenovoとIBMに対して、両社の契約は、独占禁止について定めたHart-Scott-Rodino法に抵触しない旨の早期裁定を下した。同法は、大規模な買収を計画している企業は、FTCと法務省にあらかじめ通告し、買収が市場競争に及ぼす影響についての情報を提出しなければならない、と定めている。また同法によると、企業は認可申請した買収が市場での競合状態に与える影響の評価が終了するまで、待機している必要がある。FTCの裁定は、IBMとLenovoはこれ以上待たなくてもよいと宣言するものだった。
IBMによるLenovoへのPC事業売却は今年第2四半期中に完了すると見られている。この契約のもとで、LenovoはIBMのPC事業を引き継ぎ、日々の業務を担当することになる。IBMのPC事業はここ数年間で合わせて10億ドル近い赤字を出していたと、同社が当局に提出した書類には記載されていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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