Microsoftと敵対していた企業が次々と数百万ドル規模の和解に応じるなか、次の相手先としてストリーミングメディアの草分けであるRealNetworksに注目が集まっている。
先週、Novellや米コンピューター通信産業協会(CCIA)との和解に合意したMicrosoftだが、同社の主任弁護士は、同社が進める一連の訴訟の解決に、RealNetworksが最後まで立ちはだかっていることを明かした。Microsoftは現在、欧州の独禁法違反裁定を覆すのに懸命だが、これがうまく行かない場合、Windowsへのアプリケーションのバンドルが禁止される可能性もある
RealNetworksは、欧州がMicrosoftに対して起こした独禁法違反訴訟で重要な役割を演じてきた。加えて昨年12月には、デスクトップ用OSの独占的立場を利用してデジタルメディアプレイヤー市場の競争を妨害しているとし、自社でもMicrosoftを提訴している。
Microsoftの関係者は、RealNetworksの裁判では進展があるが現時点で公表できることはないとだけ語り、両社の和解交渉に関するコメントを控えた。
Microsoft広報担当のJim Deslerは電子メールで、「まだ開示手続きが始まったばかりの段階にある」と述べている。
RealNetworks法律副顧問のDave Stewartも、先ごろ行われたインタビューのなかで、Microsoftとの和解交渉の進行状況に関するコメントを差し控えた。しかし同氏は、RealNetworksによる欧州委員会支持に、MicrosoftとNovellおよびCCIAとの和解は影響しない、と強硬な姿勢を示した。
「欧州委員会の判断は、競争の促進と、消費者やPCメーカーへの選択肢の提供を目指すものだ。MicrosoftからNovellやCCIAに和解金が支払われても、欧州委員会が非難するMicrosoftの反競争的行為が変わるわけではない。われわれは引き続き同委員会を支持する」(Stewart)
Microsoftは、欧州委員会による独禁法違反の裁定に異議を申し立てている。3月に下されたこの裁定では、史上最高額の損害賠償と、画期的な規制が言い渡された。同委員会は、Microsoftがデジタルメディアプレイヤーを巡って市場で競合する各社に打撃を与えたとの判断を下し、同社に4億9700万ユーロ(約6億4400万ドル)の罰金支払いと、Windows Media Playerを搭載しないWindowsの出荷を命じた。
この件に関しては、早ければ今月中にも、欧州委員会による制裁を即時実施とするか、あるいは上訴審確定まで実施を保留かの判断が、欧州第一審裁判所から下される見通しだ。
業界各社は、ハイテク業界全体に幅広い影響を及ぼすこの裁判の行方を注視している。この裁判の結果次第では、ソフトウェア開発者や各コンピュータメーカーがMicrosoft以外のメディアプレイヤーを採用できるようになったり、Windowsへのほかのアプリケーションのバンドルが法律で禁じられる、といった展開が考えられるからだ。
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