ソフトバンクは10月26日、ケーブル・アンド・ワイヤレスIDC(C&W IDC)を買収すると発表した。英Cable & Wireless, plcが持つ株式約70万株を123億円で取得する(ほかに19億円の第三者債務を引き継ぐ)。今回の買収によって国際通信事業を強化する狙いだ。
買収完了時期は年末から年明けとなる見込み。C&W IDCの顧客および社員約700名はソフトバンクが引き継ぐ。英Cable & Wirelessは日本市場から実質的に撤退することになる。
C&W IDCは国際音声事業や国際データ通信事業に強みを持つ。日本テレコムの売上高と合わせると国際音声事業は約435億円、国際データ通信事業は約83億円となり、いずれもNTTコミュニケーションズを抜いて業界第2位に躍り出る。
ソフトバンクBB取締役 宮川潤一氏 |
さらにソフトバンクはC&W IDCのマイライン利用者に対して「おとくライン」への移行を促す考え。同社のマイライン利用者数は法人が約15万件、個人が約8万件。国際通話の利用頻度が高い顧客が多く、ARPUが高い点が魅力だとソフトバンクBB取締役の宮川潤一氏は話す。「日本テレコムに比べ、ARPUは個人が約2倍、法人が約1.3倍となっている」(同氏)
「おとくライン」は日本テレコムが12月から開始するサービスで、同社がNTTの局舎内に独自交換機を設置し、局舎間を独自通信網でつないで低価格の固定電話を提供するもの。宮川氏は「NTTが今後接続料金を上げてくる可能性があり、早期に顧客の囲い込むことが必要だった」と話し、国際通話事業を強化することで自社網内だけで電話呼を完結させ、接続料金を削減するのが狙いだと説明した。
C&W IDCは価格競争が激化したことなどから業績が悪化していた。2004年度の売上高は713億800万円だが、営業損失が71億5500万円、経常損失が76億5000万円、当期純損失が66億7100万円と大幅な赤字となっている。
ソフトバンクではC&W IDCと日本テレコムのネットワークを統合することで合理化を図る方針。「C&W IDCの基幹網を日本テレコムの回線に置き換えることで、70〜80億円の効果があると見込んでいる」(宮川氏)として、2005年度の黒字化を目指すとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス