ソフトバンクBBとヤフーは10月4日、光ファイバーを利用した新たなブロードバンドサービス「Yahoo! BB 光」の提供を開始すると発表した。戸建住宅向けの「Yahoo! BB 光 ホーム」、そして集合住宅向けの「Yahoo! BB 光 マンション」の2種類で、10月5日より申し込み受付を開始する。
Yahoo! BB 光 ホームは、NTT局舎からユーザー宅までのアクセスラインを最大速度1Gbpsの光ファイバーで接続し、最大32ユーザーで共有するサービス。1Gbpsという速度は、NTT局舎内にソフトバンクBBが1Gbps対応の設備を設置し、GE-PON(ギガビットイーサネットベースのPassive Optical Network)と呼ばれるシステムを構築したことで可能になったという。
Yahoo! BB 光 マンションは、ソフトバンクBBが2003年11月より試験的に一部地域で集合住宅に提供していた光ファイバーサービスを本格的に展開するもの。集合住宅内の構造により、既存の電話回線を利用するタイプか、新たにLANケーブルを配線するタイプとなる。当初は最大速度100Mbpsのサービスとなるが、2005年初頭にも戸建住宅向けサービスと同様に最大速度1Gbpsのサービスを提供する予定。
戸建住宅向けサービスの価格は、基本料やISPサービス料などを含め、月額6890円(税抜き。税込みで7234円)から。IP電話サービスを利用するにはBBフォンを同時に申し込む必要があり、これを合算すると月額7270円(税抜き。税込みで7633円)となる。集合住宅向けサービスは、16戸以上の加入で4300円(税抜き。BBフォンは標準サービスのため基本料は不要)から。ただ、ソフトバンクグループ代表の孫正義氏によると、「価格は適材適所でキャンペーンなどを行い、競争力のあるものにする」という。まずは11月末日までの申込者に対し、初期費用2000円と光ホーム月額利用料金を最大2カ月間無料にする。
物理的なネットワーク部分は、NTTのシェアードサービスを利用する。1Gbpsという速度の実現は、NTT局舎内および宅内に設置するGE-PONによるもの。孫氏は、「NTTの提供するFTTHサービスで使われる両端の機器では速度が100Mbpsとなっており、複数人数で回線を分け合う際、場合によってはADSLより速度が遅くなることもある。このNTT指定の機器を使うと高速なFTTHサービスが実現できないため、独自の機器でサービスを提供できるよう、NTTに交渉を続けていた。NTT東日本とは7月末に同意がとれ、西日本とは先週金曜日に同意に至った」と、今回のサービス発表の経緯について説明する。
バックボーンについては、現在利用しているADSL網を増強することに加え、同社が買収した日本テレコムの長距離ダークファイバーを利用するため、設備投資の額は「それほど大きくない」と孫氏。ソフトバンクグループでは、今年度内に営業利益の黒字化を実現するとしているが、同サービスの提供によるグループ全体としての黒字化の予定に変更はないという。
イメージキャラクターの上戸彩さん(左)とソフトバンクグループ代表 孫正義氏 |
孫氏は、Yahoo! BBユーザー数の獲得目標を2005年9月末までに600万としている。同社ではADSLの加入者数が鈍化しつつあるが、FTTHサービスを追加するため、600万という目標値を変更することはないという。なお、8月末時点の加入者数は、442.6万となっている。
目標とするFTTHサービスのシェアについては、「ADSLで確保している程度のシェアはねらいたい」と孫氏は意欲的だ。制度上の制限などがない限り、このシェアは実現可能だと孫氏はいう。ただ同氏は、ADSLの需要もすぐにはなくならないと見ており、「コストパフォーマンスの点でADSLを選ぶ顧客もまだ多い。一般コンテンツを見るにはADSLで十分ということもあり、Yahoo! BBの8Mbpsサービスの需要がなくならないのもそのためだ。今後テレビやハイビジョンなど、リッチメディアコンテンツが充実するにつれ、FTTHの需要が高まる時期がくる」としている。
なおソフトバンクグループでは、FTTHサービスに向けたコンテンツとして、会員専用のウェブサイト上で、テレビ地上波をはじめ、BB TV、ビデオ、DVD、CS、BSなどの放送がすべて視聴可能となる「無線TVパック(仮称)」を提供する予定としている。これにより、「ADSLではIP電話を標準サービスとして電話の世界を変えたが、FTTHではテレビの世界を変えることになる」と孫氏は述べた。
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