「ページビューよりキラーコンテンツ」--エキサイト、上場説明会を開催

永井美智子(CNET Japan編集部)2004年10月12日 11時26分

 エキサイトは10月8日、ジャスダック上場に向けた経営方針説明会を開催した。会場では、代表取締役社長の山村幸広氏が同社の戦略を紹介した。

 エキサイトの2004年度の業績見通しは、売上高が前年比34.1%増の64億5176万円、営業利益は同81.0%増の5億5350万円、経常利益は同76.2%増の5億5200万円、当期純利益は同75.9%増の5億5000万円、営業利益率は8.6%。山村氏は「営業利益率10%を目指す」と話す。

 売上高の内訳を見ると、広告事業が最も大きく50.6%、続いて課金コンテンツ事業が33.3%、ISP事業が11.8%、楽曲販売などのEコマース事業は4.3%となっている。エキサイトでは広告事業依存からの脱却を図るために課金コンテンツやEコマースに力を入れており、「今後も多角化を進め、3〜5年で広告事業と課金コンテンツ事業をそれぞれ全体の3分の1にする」と山村氏は意気込む。

エキサイト 代表取締役社長 山村幸広氏

 エキサイトの基本戦略は、都市部に住むM1F1層と呼ばれる20〜34歳の男女をターゲットとしたサイト作りだ。これは広告媒体としての価値を高め、広告事業の売上を伸ばすのに役立っている。「ポータルに人を集めれば広告出稿が増えて売上が伸びるというわけではない。ターゲットが明確でサイトのブランドが確立され、ユーザーの顔が見えるサイトを広告主は求めている」(山村氏)

 ポータルサイトではページビューの獲得競争が激しいが、「インターネットは知名度とページビューが必ずしもリンクしない」と山村氏は言う。同社の人気コンテンツの1つとなったエキサイト翻訳も、宣伝は一切していないというのだ。「ヒットするものはマーケティングをしなくても伸びる。人を集めるのはキラーコンテンツだ。他社にないものをいかに早く提供するかが鍵になる」(山村氏)

 現在注目されているリスティング広告については、「広告事業の25%はリスティング広告」(山村氏)という。今後も成長が見込める分野だとしながらも、「ユーザーが広告だと認識することでクリックレートが下がるリスクがあり、諸刃の剣だ」との認識を示した。

 課金コンテンツ事業については、現在12コンテンツを提供しており、2004年度の売上高は約13億円となる見込みだ。今後は音楽ダウンロードとオンラインゲームを2つの柱としていく。エキサイトがこの2つに注目するのは、「まだ手つかずで、これから伸びる市場」(山村氏)だからだ。音楽ダウンロード事業の粗利率は約30%といい、オンラインゲームは加入者が1万5000〜2万人を超えると粗利率が急激に上がるという。今回の上場によって調達した資金を投入し、新たなゲームコンテンツの獲得や、映像配信も含めた音楽配信サービスの強化などに充てる方針としている。

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