イー・アクセスは5月17日、2003年度の決算を発表した。会員が順調に伸びたことで売上高が前年度比88.1%増となり、営業損益、経常損益、最終損益がともに黒字となった。通期の黒字化達成は創業以降初めてのこと。
売上高は前年度比88.1%増の381億4300万円。営業利益は同84億8600万円改善して41億4000万円の黒字、経常利益は80億1900万円改善して27億2400万円の黒字、当期純利益は79億3500万円改善して23億5600万円の黒字となった。「純利益は当初計画の15億円を大幅に上回った」(イー・アクセス代表取締役兼CEOの千本倖生氏)
黒字化の主な要因は会員増と営業費用の削減にある。会員数は2004年3月末までの累計で約150万回線。なかでも2003年度第4四半期の純増数は20万2000回線となり、過去最高を記録したという。これは提携ISPとの共同販売促進活動や量販店での販売、ダイヤルアップユーザーに対するテレマーケティングが好調だったためとしている。
営業費用については、光IPバックボーンの構築や設備稼働率の向上により、加入者あたりのコストを引き下げた。また、NTTの接続料金等が引き下げられたことも業績向上に寄与したとしている。
今回の好調な決算を受け、同社では資本準備金を取り崩し、累積損失を一掃する。資本準備金約142億円のうち約119億円を取り崩すという。これにより、「今後の機動的な経営戦略が可能になる」と千本氏は話す。
社外取締役の変更についても明らかにされた。2003年10月に東証マザーズに上場したことを受け、社外取締役を増やす。新たに任命される予定の社外取締役は前米国連邦通信委員会(FCC)委員長でカーライル・グループ マネージング・ディレクターのウイリアム・ケナード氏、前ソレクトロンジャパン代表取締役社長の安井敏雄氏、慶應義塾大学環境情報学部教授の國領二郎氏など7名。6月の株主総会を経て正式決定されるという。「透明性の高い組織となり、投資しやすい企業と見てもらえるのではないか」(千本氏)
2005年度の業績予想については、引き続き加入者が拡大することから増収増益を見込む。売上高は今年度比34%増の510億円、営業利益は同45%増の60億円、経常利益は同84%増の50億円、当期純利益は同112%増の50億円としている。なお、同日イー・アクセスは、AOLジャパンのISP事業を買収することを発表している(詳細記事)。
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