イー・アクセスは21日、次世代無線ブロードバンド技術TD-SCDMA(MC)の実証実験を東京都内にて開始すると発表した。TD-SCDMA(MC)はTD-SCDMAの拡張版で、米Navini NetworksのCTO Guanghan Xu氏により開発された、IMT-2000のコンセプトに合致する技術。イー・アクセスは今月15日、総務省よりTD-SCDMA(MC)の実験局予備免許を取得したばかりだ。
予備免許の取得に向けて、イー・アクセスでは2月に申請手続きを開始したが、予定していた2010MHz-2025MHzという周波数帯での予備免許取得には干渉等の問題から時間がかかるため、周波数帯と実施場所を変更して3月10日最終申請、4月15日の免許取得に至った。実験の周波数帯は2000MHz-2005MHzの5MHz幅で開始し、その後15MHzへの拡張を検討中だという。場所は、イー・アクセス所在地である虎ノ門のビルでまず開始し、渋谷、四谷でも順次実験を開始する。
実験に使用する機器は、周波数にあわせた調整を行い、すでに米国から出荷済みだという。今後試験電波発射届けなどの申請を行い、設置工事完了後に落成検査を受けて本免許交付に至り、5月15日頃から実験を開始するとしている。検証期間はおよそ1年を予定している。
今回の実証実験は技術検証が目的で、商用に結びつくものではないため、一般モニターへの開放は限られたものになる。ただ、利用方法などの状況を調査するために若干数の一般モニターへ開放するとしている。具体的な検証内容は、実験用基地局とPCカード型端末などとの間で、電波特性の評価やスループットの特性(サービス性能)を評価するという。TD-SCDMA(MC)のスマートアンテナにはセクターアンテナ(指向性を持ち、主に120°範囲をカバーする)とオムニアンテナ(指向性を持たず360°全方向をカバーする)の2種類が存在するが、今回の実験ではセクターアンテナを使用する。他システムとの干渉実験は現時点では未定で、作業班の検討状況等によって対応するとしている。
イー・アクセス代表取締役COOの種野晴夫氏 |
技術調査班はテンプレート方式で作業を進めるというが、今後の課題として、サービスイメージを前提とした技術調査を検討すること、周波数利用効率や性能シミュレーション、実験データの取得方法などを統一することが必要だとしている。
イー・アクセス代表取締役COOの種野晴夫氏は、「現時点で、ユーザーが望むような安くて高速な無線ブロードバンドサービスは存在しない。標準化されている技術、される予定の技術など、さまざまな技術が存在するが、今回の実証実験ではどういうサービスが望まれるのかといった観点も含めて検討を進めたい」と語った。なおTD-SCDMA(MC)は、米国の携帯電話標準化組織T1P1にて5月中にも標準化が完了する予定だという。
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