インターネット検索最大手のGoogleが29日(米国時間)、株式公開(IPO)の申請を行った。27億ドルの資金調達をねらったこのIPOは、異例のオークション形式で実施され、創業者らには同社の支配権が残されることになる。
米証券取引委員会(SEC)へ提出された公開登録手続きを求める書類には、Google自身がIPOで調達可能と考える推定額が記されているが、一般に供される株式数やその価格のレンジは明らかにされていない。
その結果、Googleの市場における潜在評価額が明らかになるのは、同社が株式数や価格レンジを盛り込んだIPO登録の修正書類を提出した後になる。
また、IT関連企業にとって異例の条項として、Googleは議決権の異なる2種類の株式を用意する。これは、創業者であるLarry PageとSergey Brinが決定権を維持できるよう保証することを狙った措置。このようなやり方にメリットがあることは、The New York Timesなどのメディア関連企業で証明済みだ、と申請書には書かれている。Googleは、この申請で初めて業績を外部に公開し、同社の収益性に対する長年の疑問に答えた。同社の2003年度売上は9億6190万ドル、利益は1億560万ドルで、3年連続の黒字となった。また、3月31日締めの直近の四半期には、売上が3億8960万ドル、利益が6400万ドルだった。
Googleの株式公開を巡っては、これまで何カ月もさまざまな憶測が飛び交ってきていたが、これについて、3年の不況を脱したシリコンバレーの復活を象徴するものになるとみる向きも多い。
創業者のBrinとPageは、同社の型破りな評判にふさわしい派手な行動に出て、「Owner's Manual for Shareholders(株主取扱説明書)」と題した投資家宛の書簡を添付した。この書簡には同社の掲げる目標の概要が述べられているが、Googleは上場しても普通の企業のようには運営されないと、投資家に注意を促している。
「われわれは長い間非公開企業として努力し、このやり方で成功してきた。われわれは、公開企業としても同じように運営していく」(同書簡)
「われわれの意見では、企業が外部からの圧力に屈して、四半期ごとの市場の期待に応えようとするあまり、長期的な機会を犠牲にすることがとても多い。こうした圧力に負けて業績を操作する企業さえある。Warren Buffettは『われわれは、四半期あるいは通期の業績をつくろったりはしない。売上が思わしくない場合にも、投資家にはそのまま報告する』と述べている」(同書簡)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」