日本電気(NEC)は29日、2004年3月期第3四半期の決算を発表した。売上高は1兆1661億円(前年同期比9.2%増)、営業利益は335億円(同44.4%増)で、純利益が前年同期より156億円増加して、45億円の赤字から111億円の黒字となった。同社取締役専務の松本滋夫氏は第3四半期の成果について、「収益基盤の整備も進み、2004年度3月期通期の予想営業利益1800億円を達成するめどが立った」としている。
NEC取締役専務の松本滋夫氏 | |
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分野別の売上高では、携帯電話を中心としたネットワークソリューション事業の伸びが顕著だ。同分野の第3四半期売上高は前年同期比22.7%増の4147億円。ネットワークソリューションのみならず、ITソリューション、エレクトロンデバイスの各分野もそれぞれ同3.6%増の4940億円、同3%増の2359億円となっている。
ITソリューション事業においては、SIおよびサービス分野が堅調に推移し、1540億円の売上高を達成している。ソフトウェアは前年同期並みの207億円。コンピュータプラットフォーム関連は、光ディスクドライブの伸びが大きく前年同期比13%増の1315億円、パーソナルソリューション分野では、国内パソコンの出荷台数は増加したが、価格低下などで前年同期比5%減の1869億円となった。ITソリューション事業の通期の予想売上高は約2兆1000億円と従来予想のままだが、サーバ等の価格低下により営業利益は100億円下方修正し、1050億円としている。
ネットワークソリューション事業の売上高の増加は、主に国内外での携帯電話機の出荷が大きく伸長したことによるもの。前年同期台数比は25%増で、モバイル分野の売上高は前年同期比40%増の2492億円となっている。松本氏によると、特にiモード端末505i、505iSの出荷が想定以上に好調だったという。ブロードバンド分野は、国内で企業におけるIP化投資が堅調で、前年同期比1%増の1095億円。社会インフラ分野は、国内地上波デジタル放送設備の出荷増で、前年同期比9%増の560億円となった。
エレクトロンデバイス事業では、主にプラズマディスプレイの出荷増が売上増加につながった。半導体は、携帯電話向けやパソコン周辺機器向けを中心に堅調な推移を見せたが、ゲーム機向けが減少したことやDRAM生産をエルピーダメモリに集約したことで、売上高が前年同期比3%減の1752億円となった。ディスプレイの売上高は、プラズマディスプレイの市場拡大や、これに対応する生産ラインの増強もあり、前年同期比41%増の286億円。電子部品などについては、デジタル機器向け電子部品事業が堅調で、売上高は前年同期比12%増の321億円となった。
NECは、第3四半期に約1850億円の資金調達を行っている。この増資について松本氏は、「自助努力による経営方針達成のめどは立った。今後ITとネットワーク市場の拡大における事業チャンスが訪れるので、その時に備えて市場変化に耐えうる強い財務基盤が必要だ」としている。今後IT・ネットワークソリューション事業の成長や海外ソリューション事業の拡大など、コアとなる成長分野へ投資するとともに、一部有利子負債の返却にもあてるという。
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