Qantasの72便が西オーストラリア上空を飛行中に急降下した2008年の事故について、オーストラリア運輸安全局(Australian Transport Safety Bureau:ATSB)は原因がコンピュータエラーにあったことを認めた。
ATSBが現地時間3月6日に公開した中間リポートによると、事故機のAirbus A330-303機内で、操縦士がオートパイロットを解除したところ、上空データ慣性基準装置(Air Data Inertial Reference Unit:ADIRU)が「誤ったデータを出し始めた」という。
AIDRUは、飛行状態や高度情報といった情報をエアデータセンサから受け取って飛行制御コンピュータに中継し、航空システムのなかでも中心的な役割を果たす。Airbus A330-303には、3基のADIRUが搭載されていた。
ADIRU2基は正常に機能していたが、飛行制御コンピュータが迎え角に関するデータのフィルタリングに失敗した。迎え角とは飛行中の翼の状態を示す航空用語。
「その結果、コンピュータが急降下の命令を出した」と先のリポートには書かれている。
同リポートによると、オートパイロットが解除された直後から、誤った警告が出始めたという。リポートのタイムラインによると、航空スタッフが状況を評価しようとしていると、航空機が突然機首を下げ、650フィート(約198m)も降下したという。
航空機を上空3万7000フィート(約1万1277m)まで戻した後も、機体は再び機首を下げ、400フィート(約122m)降下した。
2度にわたる急降下の結果、乗客11人が重傷を負った。
ATSBでは不具合の原因として、電波障害が航空機の通信に影響を及ぼした可能性や、近くの通信システムに起因する障害についても調査したが、これらの可能性はないとの結論に至った。
調査の次のフェーズでは、飛行制御コンピュータのうちプライマリだった1台、およびセカンダリの2台がさらなる調査の対象になる。ATSBでは、セカンダリコンピュータがプライマリから受け取ったコマンドを実行する際に問題があったことを突き止めている。調査では、設計、危険分析、試験、検証などのソフトウェアの開発サイクルを見る。
ATSBによると、ADIRUの製造した米国のメーカーも、不具合の原因を探るべく、同デバイスのソフトウェアとハードウェアの理論分析を進めているという。なお、製造メーカーの名は明らかにされていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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