日本メーカーの中で、他社に先駆けてAndroid初号機「IS01」を作り出したシャープ。今までにないAndroidとして、プログラマーや開発者でも満足できるようにスマートブック型を採用し、ハイエンドユーザーから高い評価を受けた。そして満を持して、Androidの2号機である「IS03」を開発し、KDDIから11月下旬以降に発売する予定だ。
IS01のユーザーの反応からAndroid端末だけでなく、スマートフォン全体の問題点も明らかになってきた。iPhoneにより一気にスマートフォンの認知が広がったものの、それまで使っていた携帯電話で必須だった機能が使えなかったり、使い勝手が違っていたりと、戸惑うユーザーも少なくなかった。
そこでシャープは、この問題点を取り除くことで一般ユーザーにも使ってもらえる端末を提供できると考えたという。その結果、ワンセグ、おサイフケータイなど、従来の携帯電話の機能を入れながら携帯電話の操作性を生かした端末、IS03が出来上がった。
IS03の開発について、シャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第三事業部 商品企画部 係長である中田尋経氏に話を聞いた。
中田氏は、ザウルス「MIシリーズ」の後期からザウルスの開発を行ってきた経緯を持ち、IS03にも小型情報端末開発のノウハウが生かされているだけではなく、ただならぬこだわりを持っている。
「スマート」と「ネクスト」がキーワードです。スマートとは賢い、洗練された機能を使いやすく提供する意味で、いままでの携帯電話にはできないことを実現することです。ネクストは、いままでの携帯電話の一歩先を目指すということです。携帯電話を次の世代に進化させるには、スマートフォンとの融合がひとつの解になると思っています。そこで、スマートフォンができることとはもちろん、さらに携帯電話に搭載されていて、多くのユーザーから求められている機能を盛り込むことを目指したのです。しかも、サイズは従来のスマートフォンを崩さないことも大事だと思いました。
携帯電話のカメラも解像度が高くなってきました。FeliCaやワンセグもほとんどの携帯電話に搭載されています。タッチパネルも一部の携帯電話には採用されました。携帯電話の進化は頭打ちになってきていると感じていました。さらに進化させる拡張性を持たせるにはスマートフォンは外せませんでした。
同じタイミングで、KDDIもスマートフォンを拡大していこうとしていました。携帯電話の機能を取り込むという考えは強くなかったようですが、シャープからの提案で思惑が一致したのです。
auからはその後もAndroid端末は2010年冬〜2011年春モデルとして次々に発表になった。しかし、携帯電話の機能を盛り込んでいるのは「IS03」のみ。だからこそ、KDDIからも、シャープからも期待度が高い。
1年前ぐらいから開発したのですが、そのころはAndroidがどのくらい普及するかは分かりませんでした。誰もAndroidの普及に自信が持てなかったのです。しかし、携帯電話の未来を考えると突き進めるしかないと思っていたのです。そのためにはAndroidがベストだと考えたのです。
開発を始めてから、製品を提供する頃にはAndroidのバージョン2.2が出ることは分かっていました。しかし、携帯電話の機能を入れ込むのは初めてでしたので、ある程度の開発期間が必要でした。これまでの携帯電話の機能と遜色ないものを作らないと、一般ユーザーは使えないかもしれないのです。そこで、2.2へのアージョンアップも念頭に置きながら、2.1で時間をかけて開発を進めたのです。
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